東京ナイト

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東京女子流主演映画「5つ数えれば君の夢」

2014-04-09 22:50:50 | 映画
という訳で、今日は東京女子流のメンバー5人が出演する映画「5つ数えれば君の夢」。



女子流は、一昨年の武道館ライブまではかなり熱心に通っていましたが、武道館以来、すっかりご無沙汰。
何故なのかよく分からないのですが、まあタイミングでしょうか。
でも、ときどき対バンで見かける彼女たちは、すっかり大人びていて、何だかりっぱなアーティストだなー、となんとなく遠くから見かける感じで、若干ほろ苦く思っていました。

今回も、この映画を観るつもりは無かったのですが、熱心な女子流ファンの人に勧められ、とりあえず観てみました。

で、素晴らしかった・・・!!

女子流うんぬんではなく、ただ映画としての完成度が非常に高い。
ベタな言い方ですが傑作だと思います。

もともと女子校が舞台の映画はけっこう好きで、中原俊監督の「桜の園」などは何度も繰り返し観ています。
男性にはうかがい知れない、独特の空気と緊張感、そしてやっぱりスクリーン上の彼女たちがまとう清らかさに惹かれるんだと思います。

でもこの映画、女性監督ということもあって、かなりシビアで苦いストーリー。
ある女子校を舞台に、その文化祭で行われるミスコンに出場する二人の少女をメインに物語は展開します。
ひとりは、校内の「1軍グループ」のメンバーでイケメンの彼氏もいたりする庄司芽生。
もう一人は、クラスの同級生と同調することなく、群から離れて生きるダンス好きの新井ひとみ。

他に、庄司芽生の取り巻きでいじわる役の小西彩乃、いつもひとりの園芸部員・山邊未夢、学祭委員長のしっかり者・中江友梨。
みんな驚くほど自然に演じていて「アイドル映画」というこそばゆさは全く感じません。

で、みんなそれぞれ葛藤を抱えて生きていて、みんな不機嫌そう。
そう、この映画、アイドルが主演なのに「輝く笑顔」とか「淡い初恋」とかぜんぜんありません。
ただひたすら上手く行かずに不機嫌な彼女たちが衝突したり悩んだりしています。

男性目線の「少女の聖性」を排し、怖いくらいの薄っぺらで俗な姿が描かれます。
本当はミスコンに出たくてたまらないくせに表面上は渋る庄司芽生。
彼女の彼氏は冷たい嫌なやつなのに、イケメンでみんなの憧れだから付き合っています。
その彼から強引に誘われた翌日、彼女の首筋に貼られた絆創膏が怖いです。

そんな芽生の取り巻きとして、彼女を持ち上げることで自分のプライドを満たそうとする小西彩乃。
いろいろ真っ黒な彼女は今回の当たり役。
「私があなたを幸せにしてみせる」と芽生に迫るシーンは怖いほど。

山邊未夢も中江友梨もそれぞれ屈託があって心が晴れません。
自分へのものの言い方ひとつに傷ついたり、しっかり者の仮面の下で焦燥に駆られています。

そんな中、圧倒的な輝きと聖性を保ち続けるのが新井ひとみ。
校舎の屋上をただまっすぐに歩くだけのシーン。
背すじをぴんと伸ばし前を見つめ慌てることなく歩いているだけなのですが、選ばれた「特別な子」なんだ、という刻印が見えるようで、その孤独と悲しみも伝わってきます。

とにかく、今の新井ひとみを記録できただけでもこの映画は価値があります。
ステージで踊って歌う女子流の姿とは、全く違う美しさと存在感を感じました。
少しハスキーで舌足らずなしゃべり方と声も魅力的。
大きな画面に負けることなく、そのオーラで劇場を包んでくれました。

ほんとうに素晴らしい映画。
女子流ファンだけでなく、アイドル好き、映画好きにはぜひ観てもらいたい映画です。
新進監督の山戸結希の名前もしっかり覚えました。
カメラワークも良かったし、女子校の制服もとても可愛らしかったし、落ち着いた音楽も良かった。
アイドル映画にとどまらず、関わったスタッフが誇りをもってきっちり仕事をしたのが伝わってくる完成度の高さでした。

という訳で、いま美しく輝いているアイドルは、すぐにでも映画に出るべき!
さくら学院もDorothy Little Happyも東京パフォーマンスドールも、彼女たちのいろんな魅力をスクリーンで観てみたいって思わせた素敵な映画でした。

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