東京ナイト

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「アラスカの氷河」

2009-05-22 22:27:42 | 
調べ物が終わったのでやっと自分の本が読めるようになった。
で、最初に読んだのが「アラスカの氷河」(岩波文庫)。
雪の結晶で有名な中谷宇吉郎が書いた科学随筆集。



中谷は東京帝大で寺田寅彦に師事し、後に北大やアメリカの大学で教えた学者。
この本は、戦前の樺太や、戦後のハワイ、アラスカなどでの雪に関する調査について、一般向けに書かれた読み物。ふだんはあまりこういう本を読むことは無いがけっこう面白かった。なにより知らない世界なので、いろいろ発見もあったし、戦前の科学者がどういう思いで満州や樺太で研究に携わっていたのか、また戦後、国際協力を行いながら雪や氷河に関する研究が飛躍的に進歩する興奮なども伝わってきて興味深い。

面白かったことふたつ。
むかし、ツンドラ地帯で稀に、地中に埋まっているマンモスが発見されることがあった。地表に出たばかりの時はまるで生きているような状態だが、日に当るとすぐに腐ってしまうので、昔の人はマンモスの事を冷凍保存された死骸とは思わず、日に当ると死んでしまう巨大なモグラだと思っていた、との事。

もうひとつ。この本は50年前に書かれたものだが、中谷がグリーンランドに調査に行った折、氷が溶けている様子をみて、地球温暖化を心配している。このままの状態があと50年続くと氷河が溶けて海水面が上昇してしまう、と書いてあるのだが、その理由として人類の化石燃料の消費量の増大が原因と指摘しているのはさすが。

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