東京ナイト

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剛速球の映画!/「希望の国」

2012-12-02 10:44:43 | 映画
昨日は久しぶりに映画。

園子温監督作品「希望の国」。
原発問題を描いた寓話的作品。
とは言え、園子温なので、あくまで直球勝負。
映画が終わった後、ほぼ満員の館内が静まり返るほどの剛速球でした。

映画は、福島の原発事故が起きた後の、ある原発立地県が舞台。
地震で原発がメルトダウン、周辺に暮らす酪農家一家の平和な生活が一変、という話。
20キロ圏内とそこから一歩でも出ると圏外になって退避しなくてもいいとか、マスコミの偏向報道とか去年の福島の事故と同じような話。
大きな飛躍も無く、淡々と福島事故と同じような経過を辿って物語は進みます。
まるで再現ドラマのように。

では、園子温はなぜ映画を作ったのかと考えると、2012年のこの時期にもう一度、あの事故を思い出させるためだと思うのです。
映画の中でも、酪農家の息子の奥さんが妊娠して、放射能に敏感になるんだけど、避難先の町の人は、「過剰反応」だと白い目で見る、というエピソードが出てきます。
「たった1ヶ月前は、みんな放射能を気にしていたのに、なんで俺達が白い目で見られるんだ! 放射能は無くなったのかよ!」、という息子の台詞は、そのまま観客に刺さります。

僕自身、これ程、アイドルにはまる理由のひとつが、「原発事故の記憶からの逃避」なのかなと思っていたりします。
何となく「忘れたい」と思っているんでしょう。
でも忘れちゃいけないんですよね。

そうしないと、この映画の最後のように、放射能から避難したはずなのに、そこでも原発事故が起きるかもしれません。
逃げずに、忘れずに「一歩一歩」進んでいく。
そんなメッセージを受け取りました。


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