東京ナイト

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宮沢りえの朗読公演『宮沢賢治が伝えること』@世田谷パブリックシアター

2012-05-23 22:41:43 | ライブ、芝居、演芸など
今日は世田谷パブリックシアターで朗読公演『宮沢賢治が伝えること』を観てきました。



この公演は、大竹しのぶ、小泉今日子、三谷幸喜など38人の著名人が日替わりで宮沢賢治の物語を朗読し、その収益金を東北の復興支援として寄付するというもの。
今日は、宮沢りえ、松尾スズキ、鈴木浩介の3人が登場し、「注文の多い料理店」「春と修羅」「よだかの星」「雨ニモマケズ」などを朗読しました。

今年の2月に観た『下谷万年町物語』での宮沢りえのお芝居があまりにも素晴らしかったので、彼女の朗読を聴きに行ったのですが、今日も変わらぬオーラと存在感を感じることが出来ました。
まあ、何よりあの美しさは別格ですね。

共演の松尾スズキも飄々とした読み方で良い味を出していたし、鈴木浩介も声に力があって良かった。
芸達者の3人なので、宮沢賢治の作品世界を素直に感じられました。

賢治は1896年に生まれているのですが、同じ年、明治三陸地震が起きて、津波などにより2万人以上の死者が出ています。
37年後の1933年に彼は亡くなりますが、この年にも昭和三陸地震が起きて数千人の被害がありました。

東電をはじめとして、そうした歴史を忘れたことが今回の大災害につながってしまったわけですが、宮沢りえの読む賢治の詩を聴きながら、10年近く前、賢治のふるさとを訪ねた旅を思い出しました。

その時は、彼のふるさと花巻を巡り、その足で釜石に行って、海岸沿いのホテルに泊まったのでした。
花巻を訪れたのは、寒くて薄暗い曇りの日でしたが、まるで賢治の詩の世界にいるような気持ちになったのを思い出します。
釜石では、壊される間際の橋上市場を見学し、地元の方にとても親切にしてもらいました。

去年、ボランティアとして釜石を訪れ、様変わりしてしまった街の様子にとても驚いたのですが、なんだか、そんな光景が今日の朗読劇を聴きながら、頭をよぎって仕方がありませんでした。

賢治のどこまでも透き通った詩の世界は、厳しい気候風土だけでなく、度重なる災害への受容と負けん気によって作られたのだと思います。
取りとめも無く、そんな事を考えさせられた一夜でした。