東京ナイト

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『下谷万年町物語』@シアターコクーン

2012-02-10 23:13:43 | ライブ、芝居、演芸など
今日は渋谷でお芝居。
改装されたばかりのシアターコクーンで『下谷万年町物語』を観てきました。

このお芝居、演出が蜷川幸雄、脚本が唐十郎、で、主演に宮沢りえ、藤原竜也、西島隆弘というゴージャスな面々。



3部構成のお芝居の舞台は終戦後しばらくの下谷万年町。
派手なオカマや軽演劇の怪しい劇団員など有象無象がうごめくように暮らしている町。

で、唐芝居らしく、ほとばしるような言葉の放出が続きます。
しかし、テント芝居なら、その台詞がテント中を満たし、すぐに唐ワールドに連れて行ってくれるのですが、シアターコクーンの広い空間では、役者の発する言葉がすぐに宙に吸い込まれてしまい劇場を満たすことが出来ません。
そうした目で見てしまうと、役者達の動きも空々しく、派手なアクションも空回り気味。
しょうじき「ちょっと失敗したかな」と観に来たことを少し後悔してしまいました。

でも1部の最後、それまで出てこなかった宮沢りえが登場した途端、あんなに広く見えた舞台がピシッと締まります。
台詞を一言も発していないのに、ただそこにいるだけで急に舞台の空気が変わったのが分かりました。

2部になると、彼女は朗々と歌い、小気味良いタンゴを踊り、唐芝居の長台詞を延々と語り始めます。
今となっては懐かしい感じの唐芝居の台詞回しも全く不自然に感じませんでした。
むしろその長い台詞を聞き逃すまいと、こちらも身を硬くして見入ってしまいます。
すごいオーラです。
1月6日から始まった長期の公演で、主役達は声ががらがらになってしまっていましたが、それも気にならなくなるほど。

3時間近い舞台で、さすがに最後は少しだれましたが、本当に見事な存在感。
数十人の役者が登場しましたが、しょうじき宮沢りえ以外、ほとんど目に入りませんでした。
ほんとうに何が違うんでしょうか。
あ、でも最後に少しだけ登場した唐十郎はさすがの存在感。まだまだ健在ですね。
という訳で、女優宮沢りえの凄さを直に感じられた素敵な一夜でした。


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