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ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

グリーン・イノベーションフォーラムでは、事業プロモーター活動の話を伺いました

2013年02月26日 | 汗をかく実務者
 日本政策投資銀行系のベンチャーキャピタル(VC)のDBJキャピタル(東京都千代田区)が開催した「グリーン・イノベーションフォーラム」を拝聴した話の続きです。

 昨日(2023年2月25日編)に掲載した「グリーン・イノベーションフォーラム」の内容を伝えるWebサイトの表紙では、「文部科学省 大学発新産業創出拠点プロジェクト(START)」の文字が、上部に表記されています。



 文部科学省は、平成24年度(2012年度)から始めた新事業の大学発新産業創出拠点プロジェクト(通称、START事業)の中で、DBJキャピタルの取締役投資部長の山口泰久さんを、大学発新産業創出拠点プロジェクトの研究開発プロジェクトをマネジメントする“事業プロモーター”の一人に選んでいます、

 文部科学省は平成24年度には事業プロモーターを合計7人選び、研究開発プロジェクトのマネジメントを委託しています。選ばれた事業プロモーターは7人そろって、ベンチャーキャピタリストです。山口さんは、日本で初めて本格的な知的財産ファンドを立ち上げ、運営した実力者です。



 画像の向かって右側の方が山口さんです。その左側の人は京都府立大学教授の石井さんです。

 ここ10数年間ほど、文部科学省などの行政機関は大学や公的研究機関の優れた研究成果を基に、その事業化を図る産学連携プロジェクトを強力に推進してきました。それなりの予算をつけ、投資してきました。しかし、あまり成果が上がっていないとの評価が下されています。

 このため、各研究成果を基にした産学連携プロジェクトの事業化戦略・ビジネスプランづくりをマネジメントする役目の事業プロモーター制度を設け、事業プロモーターを選び出し、役目を委託しました。

 山口さんは、昨年から研究開発プロジェクトを5件、マネジメントしています。「DBJキャピタル・グリーンイノベーションフォーラム」では、5件の内の4件の研究開発プロジェクトの事業化を目指す開発態勢や事業計画など(“プレベンチャー”と呼ぶ)を解説しました。

 解説された4つの研究開発プロジェクトは、九州大学大学院の浜本芳徳准教授の「スマートエネルギー利用植物工場」、横浜市立大学大学院の城武昇一准教授の「生分解性抗菌ナノ粒子による農業用抗菌剤の研究開発」、九州工業大学大学院の西田治男教授の「未利用バイオマスからの高性能コンポジット開発」、京都府立大学大学院の石井孝昭教授の「菌根菌(きんこんきん)とそのパートナー細菌を活用した食料増産技術の研究開発」です。

 京都府立大学教授の石井さんは、アーバスキュラー菌根菌とそのパートナー細菌、その細菌などの増殖を助ける“パートナー植物”を活用する有機農法の事業化について解説しました。

 菌根菌は、土壌中に張り巡らした菌糸から、リン酸や窒素などを吸収して“宿主植物”に提供する菌です。マツタケを育てる“マツタケ菌”も菌根菌の一種と解釈されています。菌根菌が宿主植物”にリン酸や窒素などを提供する代わりに、エネルギー源として共生相手の植物から炭素化合物をもらって、菌根菌自身が成長するという共生関係を保ちます。多くの菌根菌は共生植物に対して成長促進効果を持つと考えられています。

 京都府立大学教授の石井さんは、アフリカのルワンダでマカダミアナッツの栽培と加工工場の事業化を進めたり、インドネシアでゴマ栽培の事業化を進めているそうです。アーバスキュラー菌根菌とそのパートナー細菌やパートナー植物などの研究成果を活かして土壌改良を行っているそうです。この結果、肥料と農薬の量を減らし、安心・安全な食糧増産技術の確立を図っているそうです。

 今後は、京都府立大学発ベンチャー企業を設立し、アーバスキュラー菌根菌とそのパートナー細菌やパートナー植物などの研究成果を基にした技術移転による技術指導のライセンス料を得る仕組みの事業を確立する計画だそうです。

 「農業作物のトレーサビリティー技術を確立し、栽培品の高付加価値化を図る事業モデルを目指したい」と説明されました。ルワンダとインドネシアでの事業成果を基に、他国へも水平展開し、対象作物を増やしていく予定だそうです。当然、日本国内にも水平展開するようです。