ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

日本経済新聞紙の見出し「京大生よ 日本語で考えよ 山極学長2年目に」を拝読しました

2015年10月22日 | 日記
 2015年10月21日に発行された日本経済新聞紙の朝刊の中面に掲載された解説「京大生よ 日本語で考えよ 山極学長2年目に」を拝読しました。

 昨年2014年10月に京都大学の学長に就任した山極寿一(やまぎわじゅいち)さんは、学長就任2年目を迎えた時点として「京都大学の教育・研究の国際競争力を高めるために、大学をどのように変えていくのか、その戦略と課題を聞いた」と、記事のリードに今回のインタビューの趣旨が説明されています。

 元々はゴリラなどの霊長類研究の第一人者だった山極寿一さんが、京都大学の学長に就任し、自校の大学改革を進め始めたところです。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版では、見出し「京大生よ 日本語で考えよ 山極学長2年目に 英語はツールでしかない 答えのない問題を全員に」として載せています。記事の中身出しまで入れた見出しです。



 この記事の冒頭では、「学生をどうグローバル人材に育てますか」という問いに対して、京都大学の学生には、春と夏の休暇中にどんどん短い海外留学をさせ、国際感覚を身につけさせたいと答えています。

 そして、この短い海外留学は英会話の習得が目的ではないと伝え、英語習得はたかが外国語学習というツールを学ぶことに過ぎないと指摘します。重要なことは、大学4年間に、考える力を身につけることだと指摘します。そのためには、日本語でしっかり考えることだと伝えます。

 このため、京都大学は教養教育に力を入れていると答えます。大学院や研究所を含めた全学の教員・研究者が教養教育にかかわっている点が、京都大学の強みと答えます。つまり、京都大学の約3000に及ぶ講義から科目を選べる。さらに、10人以下の少人数教育を来年度から1年生全員に実施し、文理融合の答えのない問題の解を考えさせると答えます。こうした教養科目(リベラルアーツ)は、欧米の有力大学が重視している教育です。

 この大学教育の流れは、文部科学省がいう「人文社会系の再編」と見た目は逆行します。山極寿一さんは、いますぐ役立つ人材教育ではなく、未来の社会に向けて期待に応える人材を育てるのが国立大学の使命だと解説します。このため、人文社会系は教養教育として重要であると指摘します。

 このためには、高校の教育改革を大学も協力して取り組む必要があると指摘します。高校生の時代は正解をひたすら暗記する受験勉強をして大学に進学してくるが、これでは考える力をつける教育としては遅いので、高校の時点から答えのない問題を考えさせる教育に変えていきたいと戦略を語ります。

 現在、入学してくる高校生は京都大学では5教科7科目の学力を総合的な学力として選抜していると答えます。私立大学などは3教科3科目の入学試験をしている点に、疑問を呈していると、記事では伝えます。

 英国の教育情報誌の世界大学ランキングでは、日本の東京大学や京都大学がランキングを下げたことについては、統計データの取り方が今年から変わったための影響で、同教育情報誌も「昨年のデータと比べないでほしい」と伝えているとし、別の問題と答えています。

 ただし、海外で日本の大学が評判・評価が低いことは問題だと語ります。問題は、例えば京都大学出(大学院修了者も含むもよう)の研究者が、“国際貢献をしようとしても、その場限りの研究成果発表や技術供与に留まっているからと解説します。

 この問題を解決するには、海外の発展途上国を技術移転で支援するには、その国の政策決定に関わり、日本の科学技術を着実に植え付けることが重要と語ります。日本の政府が日本の研究者が国際舞台で活躍する後押しを期待しているようです。この部分はなかなか微妙な解決策提案です。