日本経済新聞紙の「日立、研究費に年5000億円、人工知能やロボ向け」を拝読しました

　2015年5月8日発行の日本経済新聞紙の朝刊一面に掲載された、見出し「日立、研究費に年5000億円、人工知能やロボ向け」を拝読しました。

　日立製作所は2016年度以降の研究開発費を、2015年度見込みに比べて、約30パーセント増やし、年間5000億円程度にすると報じています。

　日立製作所が世界市場で競合する米国のゼネラル・エレクトリック（General Electric Company、GE）やドイツのシーメンス（Siemens AG）などに匹敵する研究開発費にする計画です。主に、センサーや人工知能（AI）、ロボットの研究開発に集中投資すると伝えます。
　
　日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞　電子版では、見出し「日立、研究費に年5000億円、人工知能やロボット向け」と、ほぼ同じ見出しです。



　日立製作所の執行役常務・CTO（最高技術責任者）の小島啓二さんは「2016年度から3年間の中期経営計画では、売上高に占める研究開発投資比率を2013年度の3.7パーセントから、4から5パーセントに増やすとの考え」を示したそうです。この研究開発投資によって、年間売上げを11兆円程度まで増やす計画だそうです。

　日立製作所は半導体の研究が主体だった1997年度当時の研究開発費の5000億円規模に達する見通しです。「2016年度以降は研究開発ではアクセルを踏む」と説明しています。

　日立製作所は現在、事業改革を進め、ビックデータ解析などの高度なIT（情報技術）と鉄道や水道、エネルギーなどのインフラストラクチャー事業との融合した事業を展開する構えです。こうした事業を支える人工知能、センサー、ロボット、セキュリティーなどの要素技術への研究開発投資を3倍に増やす方針です。

　この結果、研究開発者も現在の約2600人から15パーセント増の3000人程度にする計画だそうです。ただし、これまでの事業化のやり方とは変えて、ユーザー企業や協力企業などと一緒に事業（ビジネス）を立ち上げる“協創センター”（CSI）に500人を貼り付けるもようです。従来の研究開発成果を事業につなげるやり方を変える方針です。

　今回の日立製作所の記事は、日本を代表する主要企業35社が事業での収益回復を背景に、研究開発投資を増やすなどの成長投資の代表格として、日立製作所の動きを伝えるものです。日本を代表する企業がグローバル市場で活躍する基盤を築く計画を明らかにしたという内容です。

　興味深いのは、日本経済新聞紙が作成した主要35社の2015年度の研究開発費の一覧をみると、同じ業界でも研究開発費の絶対値はかなり開きがある点が興味深いです。

　たとえば、電機業界では、パナソニックの研究開発費が4700億円であるのに対して、NECは同1450億円です。また、自動車業界では、ホンダが同7200億円に対して、マツダは同1250億円、三菱自動車は同820億円です。三菱自動車が少ないなど、日本企業でも、成長戦略はまだら模様のようです。