創業234年目を迎えた大手製薬企業の武田薬品工業は、昨年2014年6月にフランス人のクリストフ・ウエバーさんを社長に就任させ、話題を集めました。英国の製薬企業のグラクソスミスクライン(GSK)のワクチン部門トップだったウエバーさんを社長に選び、就任させました。
ウエバーさんを社長に選んだのは、昨年6月まで同社の社長を11年間にわたって務めていた、現会長の長谷川閑史さんです。
2015年3月2日号の「日経ビジネス」誌の表紙は、ウエバーさんと長谷川さんの二人の顔写真を並べたものです。

同特集のリードページには、「後継者育成に失敗した」という目立つ見出しで、長谷川会長のインタビューが載っています。その記事によると、かって1年間に売り上げ1兆円を稼ぎ出した高血圧症治療薬「ブロプレス」などの4新薬の特許が2010年前後に相次いで期限切れになり、武田薬品工業の売り上げの約6割を失い始めたために、これに代わる新薬候補を見いだすために、同社は総額2兆円に及ぶ大型のM&A(合併・買収)策を実施しました。
この結果、2008年にがん治療薬を開発している米国ミレニアム・ファーマシューティカルズ、2011年にスイスの大手製薬企業のナイコメッドを買収するなど、大型のM&Aによって、世界のグローバルな製薬企業に変身しました。
この結果、武田薬品工業の次期社長候補を探した時に、新興国を含むグローバル規模で研究開発や営業を統括できる人材が、社内の日本人幹部にはいないことに気がついたようです。
しかも、現在の武田薬品工業は、欧米の“メガファーマ”と呼ばれる巨大製薬企業の売上高や研究開発費などと比較してみると、企業規模は16位とトップ10にも入れないほど小さく、下手をすると、さらにもっと規模の差が大きくなる可能性が高いと推定されています。
このため、武田薬品工業はウエバーさんを社長に就任させただけではなく、経営陣でつくる最高執行機関“タケダ・エグゼクティブ・チーム”のCFO(最高財務責任者)としてフランソワ・ロジェさんを、研究開発担当に日系米国人のタチ山田さんを、生産供給担当にトーマス・ニフスキーさんを据えています。一気にグローバル・リーダー人材を招き入れたのです。
実は、この特集の解説では、部長などの幹部ポストにも外国人をスカウトし、真の“外国人による経営態勢”を築いた点が、従来の日本企業のグローバル化のやり方と異なると指摘します。以前のソニーやオリンパス工業は、外国人を社長に据えましたが、部長職などの幹部までの外国人化は実施していません。ここが武田薬品工業の挑戦になっています。
武田薬品工業の主要ポストを奪われた日本人幹部は「ウエバー新社長や外国人幹部の失敗を心待ちしているのではないか・・と、日経ビジネス編集部は予測しています。
「日本の大手企業での外国人社長就任はあまり成功していない」と、早稲田大学ビジネススクールの准教授は分析します。今回の武田薬品工業での経営陣の外国人化は、日本の大手企業のグローバル化の大きな試金石になりそうです。
ウエバーさんを社長に選んだのは、昨年6月まで同社の社長を11年間にわたって務めていた、現会長の長谷川閑史さんです。
2015年3月2日号の「日経ビジネス」誌の表紙は、ウエバーさんと長谷川さんの二人の顔写真を並べたものです。

同特集のリードページには、「後継者育成に失敗した」という目立つ見出しで、長谷川会長のインタビューが載っています。その記事によると、かって1年間に売り上げ1兆円を稼ぎ出した高血圧症治療薬「ブロプレス」などの4新薬の特許が2010年前後に相次いで期限切れになり、武田薬品工業の売り上げの約6割を失い始めたために、これに代わる新薬候補を見いだすために、同社は総額2兆円に及ぶ大型のM&A(合併・買収)策を実施しました。
この結果、2008年にがん治療薬を開発している米国ミレニアム・ファーマシューティカルズ、2011年にスイスの大手製薬企業のナイコメッドを買収するなど、大型のM&Aによって、世界のグローバルな製薬企業に変身しました。
この結果、武田薬品工業の次期社長候補を探した時に、新興国を含むグローバル規模で研究開発や営業を統括できる人材が、社内の日本人幹部にはいないことに気がついたようです。
しかも、現在の武田薬品工業は、欧米の“メガファーマ”と呼ばれる巨大製薬企業の売上高や研究開発費などと比較してみると、企業規模は16位とトップ10にも入れないほど小さく、下手をすると、さらにもっと規模の差が大きくなる可能性が高いと推定されています。
このため、武田薬品工業はウエバーさんを社長に就任させただけではなく、経営陣でつくる最高執行機関“タケダ・エグゼクティブ・チーム”のCFO(最高財務責任者)としてフランソワ・ロジェさんを、研究開発担当に日系米国人のタチ山田さんを、生産供給担当にトーマス・ニフスキーさんを据えています。一気にグローバル・リーダー人材を招き入れたのです。
実は、この特集の解説では、部長などの幹部ポストにも外国人をスカウトし、真の“外国人による経営態勢”を築いた点が、従来の日本企業のグローバル化のやり方と異なると指摘します。以前のソニーやオリンパス工業は、外国人を社長に据えましたが、部長職などの幹部までの外国人化は実施していません。ここが武田薬品工業の挑戦になっています。
武田薬品工業の主要ポストを奪われた日本人幹部は「ウエバー新社長や外国人幹部の失敗を心待ちしているのではないか・・と、日経ビジネス編集部は予測しています。
「日本の大手企業での外国人社長就任はあまり成功していない」と、早稲田大学ビジネススクールの准教授は分析します。今回の武田薬品工業での経営陣の外国人化は、日本の大手企業のグローバル化の大きな試金石になりそうです。