ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

九輪草の先端に輪状の花が咲いていました

2010年06月23日 | 佐久荒船高原便り
 佐久荒船高原の湿地に九輪草(クリンソウ)が咲いていました。

 日本の桜草(サクラソウ)の仲間で、一番大きいのが九輪草です。佐久荒船高原は内山峠の近くで、夏でも朝などは麓から霧が立ちのぼってくるため、湿気が高いようです。雨量も多いようで、清水が湧き出る小さな水場が多く、ここから小さな小川もいくつか流れ出しています。林道を行くと、水場付近に点々と咲いています。



 ある水場の付近に、九輪草が群生して咲いています。野草の中で、こんなに赤が鮮やかな花はあまりありません。



 この「九輪」とは、お寺の塔の頂上部の柱を構成する九つの輪装飾のことです。
 お寺の五重塔などの頂上部は「相輪」(そおりん)と呼ばれ、一般的には七つの部分で構成されているそうです。その頂点の「宝珠」(ほうしゅ)の下に、「竜車」(りゅうしゃ)、「水煙」(すいえん)と並んでいる下に、「宝輪」(ほうりん)という九つの輪が並んでいるそうです。これが九輪です。今度、五重塔を見に行ったら、双眼鏡で見てみましょう。




 九輪草の花も、層状に咲きます。最初に咲いた花が実をならせると同時に、その上側に茎が伸びて、その先に花が輪状に咲きます。これが繰り返されると、実の部分が輪状となって層状に重なり、九輪のように並びます。これが、九輪草と呼ばれる由縁と言われています。

 九輪草が枯れて、実の中に多数の種ができます。芥子(けし)の実のような小さな黒い種が無数できます。これが湿地に落ちて、次世代が育つようです。できた種の数を考えると、ほんのわずかの種が次世代の九輪草になるようです。

 九輪草の学名は「Primula japonica」です。“日本”が入っています。日本を代表するサクラソウ科サクラソウ属の多年草の野草と認められているようです。日本固有種がこんなに美しい野草であることは、本当にうれしいことです。

 先日訪れた神奈川県箱根町の「箱根湿生花園」では、花の色が白や薄いピンク、濃いピンクなどのさまさまな九輪草に出会いました。水辺に白や薄いピンクなどの九輪草がある程度群生していました。

 九輪草の自生地として広域で咲くことで知られているのは、長野県南部の喬木村(たかぎむら)の九十九谷森林公園(くじゅうくたにしんりんこうえん)です。村花として村の方が約5万株も植えられ、大事に育てられているとのことです。九輪草の花が絨毯状に一面に咲き誇るそうです。まだ行ったことはありませんが、白やピンク、赤の花が群生している風景を一度は見てみたいです。日本には行って、その季節の風景を見てみたい所が多数あります。四季折々の風景が美しいからでしょうか