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ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

スウェーデンのボルボ・カーが発表した電気自動車重視戦略が話題を集めています

2017年07月12日 | イノベーション
 朝日新聞紙などのいろいろな有力新聞紙などが、スウェーデンの自動車メーカーのボルボ・カーが2017年7月5日に発表した「2019年以降に発売するすべての車を電気自動車(EV)や“ハイブリッド車”などの電動車にする」ことを、次々と報じています。

 世界各国で厳しさを増す環境規制や消費者ニーズの変化に応える重要な戦略の動向だからです。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版では、見出し「ボルボ、全車種19年から電動に、有力メーカーの先陣切る」と、報じています。



 世界各国の自動車大手が進めるガソリンやディーゼルなどを燃料に用いる既存の内燃機関エンジンの搭載車から電気自動車などへの移行がさらに加速しそううです。

 ボルボ・カーのホーカン・サムエルソンCEO(最高経営責任者)は「(ガソリンやディーゼルなどの)内燃機関の時代の終わりを意味する」と述べたそうです。欧米の有力自動車メーカーの中で、「脱内燃機関の記事を明言する」を表明を発表したのはボルボ・カーが初めてです。

 7月5日の記者会見では、ホーカン・サムエルソンCEOは「ボルボ・カーにとって非常に重大な決断であり、戦略的な転換」と強調したそうです。

 ボルボ・カーは、2025年までに電動車両を累計で100万台販売する計画だそうです。

 この記者会見時に公表された概念図の一つです。



 現時点での2016年の世界での電気自動車の販売台数は53万台に過ぎないので、大きな決断です。同社は、“ハイブリッド車”ではない純粋な電気自動車を、2019~2021年までに5車種を発売する計画です。

 いくらか冷静に考えると、スウェーデンの自動車メーカーのボルボ・カーは欧州では中堅メーカーです。台数ベースでは、あまり主役級ではありません。

 その主役級でないボルボ・カーが、生き残りをかけて、電気自動車化に集中する戦略は分かりやすい戦術です。

 米国での、電気自動車専用メーカーのテスラ(Tesla, Inc)の成功を考えると、ボルボ・カーの戦略は良く理解できます。

 電気自動車では、日本の日産自動車が先行しています。ただし、自動車事業としての収益性は不透明です。日産自動車は傘下に、電気自動車技術に優れている三菱自動車を傘下に入れて、事業強化を果たしています。

 また、“ハイブリッド車”分野では、トヨタ自動車とホンダ(本田技研工業)が先行しています。

 しかし、環境優先を念頭に置いて、内燃機関の時代の終わりを宣言してはいません。理念を明らかにし、その事業をデザインする欧州自動車メーカーの戦略は見逃すことができない内容です。

日産自動車の『ノート』e-POWERパワートレーン搭載車が売れているそうです

2016年12月14日 | イノベーション
 先週、12月上旬に大手新聞紙に掲載された記事の中では、見だし「日産『ノート』が初の首位を獲得」に興味を持ちました。

 2016年12月6日に、日本自動車販売協会連合会(自販連)と全国軽自動車協会連合会(全軽自協)が発表した2016年11月の1カ月当たりの車名別新車販売台数で、日産自動車の乗用車「ノート」が初の首位を獲得したという記事です。



 このランキングでは、第2位は10月に続いてホンダ(本田技研工業)の軽自動車「N-BOX」、第3位は10月には首位だったトヨタ自動車のハイブリッド車(HEV)「プリウス」だったそうです。 やはり「プリウス」は常に上位にいます。

 日産自動車の車が首位を取ること自身、かなり久しぶりのことです。日産自動車が“部分改良”して11月2日に発売したノートは、11月23日時点で受注台数が2万348台となり、発売から約3週間で月間販売目標の2倍を超える受注を獲得したそうです。

 新しい電動パワートレーン「e-POWER」を搭載した「ノート」を発売したのが、ヒットした原因です。このパワートレーン「e-POWER」システムとは、シリーズ・ハイブリッド・システムと呼ばれるもので、小型エンジンで発電をし、その発電した電力をリチウムイオン電池に蓄え、この電池で電気モーターを駆動されるという仕組みのものです。電気モーターは、最高出力80キロ・ワットです。



 画面の右側にみえる黒い直方体がリチウムイオン電池です。容量が1.5キロワット時と小さいので、小型です。このため、助手席の下に収納されています。左側が小型エンジンと電気モーターです。

 排気量1.2リットルのガソリン・レシプロエンジンは自動車の駆動力には一切利用せず、リチウムイオン電池の充電にだけ使うという点が特徴です。e-POWERシステムは、モーターと電池、インバーターで構成される、電気自動車(EV)のパワートレーンです。日産自動車の従来の電気自動車「リーフ」との違いは、エンジンと発電機を追加した点です。エンジンを駆動力に一切使わず、発電に専念させる方式のパワートレーンです。

 この結果、電気自動車ですが、充電口は備えてなく、ガソリンを燃料とするエンジンによる発電によって、電池を充電し、電気モーターの駆動力でのみで走行します。

 電動パワートレーン「e-POWER」を搭載した「ノート」は、発進する時はエンジンは停止したままで、電池から電力を供給されたモーターだけで走行します。このため、始動時には電気自動車なので静かだそうです。

 いくらか車のスピードが速くなると、エンジンが始動し、発電をして電池に電力を送り始めます。あるいは、急加速時や登坂路などでは、電池からの電力供給に加えて、エンジンで発電機を回して得た電力もモーターに供給して十分な駆動力を確保する仕組みです。

 車のタイヤの回転数に関係なく、エンジンの回転数を制御できるため、「燃費率(発電効率)が最も良い2200~2500rpmの領域でエンジンは稼動します。

 この結果、JC08モード燃費は、車両質量の軽い廉価グレードの「ノートe-POWER S」で1リットル当たり37.2キロメートルだそうです。競合するトヨタ自動車の小型ハイブリッド車(HEV)「アクア」の1リットル当たり37.0キロメートルをわずかに上回ります。

 量販グレードの「ノートe-POWER X」と上位グレードの「ノートe-POWER MEDALIST」の燃費はともに1リットル当たり34.0キロメートルです。

 これまでの電気自動車の課題だった走行距離を、普通のガソリン・レシプロエンジン搭載車並みにした点が売れている理由のようです。

 実は、シリーズ・ハイブリッド・システムと呼ばれるものは、東京モーターショーなどでは、3、4回前に盛んに試作車が発表されたやや古い考え方のシステムです。

 この電動パワートレーン「e-POWER」の実用化が発表された時には、各自動車メーカーの開発技術者は一昔前の技術との印象を持った方が多かったとの噂です。

 でも、ユーザーからみれば、走行距離が長い“電気自動車風”と映ったようです。この辺が、興味深いことです。

 日産自動車は、トヨタ自動車のハイブリッド車(HEV)の「プリウス」「アクア」とは異なる、独自の道を走る点が興味深いことです。

 その一方で、トヨタ自動車は、ハイブリッド車(HEV)に加えて、新しいコンセプトの電気自動車も手がけるとの戦略を採るそうです。今後、トヨタ自動車から、どのような電気自動車が登場するのか、興味は尽きません。

東京芸術大学大学院の研究成果の“クローン文化財”を偶然、拝見しました

2016年08月28日 | イノベーション
 2016年8月25日から26日までの2日間にわたって、東京都江東区の東京ビックサイトで開催された「イノベーション ジャパン2016展」に行ったところ、東京芸術大学大学院美術研究科の教授の宮廻正明さんの研究グループの研究成果である「バーミアン東大仏天上壁画」などの“クローン文化財”ブースを見つけ、さっそく拝見しました。

 この“クローン文化財”(復元品)の研究成果は、文部科学省と科学技術振興機構(JST)が進めている「The Center of Innovation Program」の中で進められてる「『感動』を創造する芸術と科学技術による共感覚イノベーション」を代表する研究成果です。

 今回展示された“クローン文化財”をアット・ランダムにご紹介します。

 復元した「法隆寺金堂壁画第6号壁」の一部です。



 対象が大き過ぎて、全体を撮影できませんでした。

 復元した「バーミアン東大仏天上壁画」の一部です。アフガニスタンで、タリバンによって破壊されたバーミヤン東大仏の天崖を飾っていた「太陽神と飛天」の復元品です。


 対象が大き過ぎて、全体を撮影できませんでした。

 復元した米国ボストン美術館の「スポルディング・コレクション」の浮世絵版画です。





 この米国ボストン美術館の「スポルディング・コレクション」の浮世絵版画の“クローン文化財”づくりについては、弊ブログの2016年7月14日編をご参照ください。

 この“クローン文化財”というデジタル復元画の研究成果は、欧米などを中心に国際的に高く評価され、賞賛されています。先日、2016年5月26日から5月27日に日本の三重県志摩市で開催された伊勢志摩サミット(G7 summit)では、米国やドイツ、フランスなどの各国主賓は、この“クローン文化財”をご覧になり、驚がくされ絶賛されたそうです。

「近畿大学の産学連携成果について」という講演を拝聴しました

2016年06月01日 | イノベーション
 近畿大学リエゾンセンターのコーディネーターの方による「近畿大学の産学連携成果について」の講演を拝聴しました。とても面白い内容でした。

 そのコーディネーターの方は、冒頭の挨拶から「近大マグロで有名な近畿大学の〇〇です」と笑いをとります。

 まず「近畿大学は西日本最大級の私立大学」と説明し、「14の学部、11の大学院研究科、24の研究所を持ち、学生数は約3万1000人に上る」と大学の概要を紹介します。

 近畿大学は、東大阪キャンパスに法学部など8学部あり、ここが中心です。その一方で、大阪狭山キャンパスに医学部、奈良キャンパスに農学部、和歌山キャンパスに生物理工学部、広島キャンパスに工学部、福岡キャンパスに産業理工学部と、西日本各地にキャンパス・学部を持っています。

 そして「約32年間の研究の結果、2002年(平成14年)にクロマグロの完全養殖に成功した」という成果を持つ水産研究所は、和歌山県西牟婁郡白浜町などに複数の研究・養殖拠点を持っています。



 そして、マグロだけではなく、ヒラメやイシダイ、クエ、トラフグなどの18種類の魚の養殖技術も確立し、漁業組合などと協力して出荷しています。

 その中で、話題をかなり集めたのが2013年4月に大阪市のJR大阪駅北側に出店した「海鮮料理店 近畿大学水産研究所」です。さらに、2013年12月には東京都中央区銀座にも出店しました。現在、予約がなかなか取れない海鮮料理店として有名です。このお店では、鮮魚の刺身に加えて、和歌山県産の地場の野菜などを食べることができます。

 この「海鮮料理店 近畿大学水産研究所」は、近畿大学とサントリーの子会社が設立したベンチャー会社であるアーマリン近大(和歌山県西牟婁郡白浜町)が経営・運営しています。

 同社は近畿大学水産研究所が養殖技術を確立した18種類の魚を養殖した生魚も販売しています。Webサイトからでも購入できます。

 クロマグロの完全養殖がらみでは、エースコックが2014年12月にカップラーメン「近大マグロ使用 中骨だしの塩ラーメン」を販売し、翌年の2015年12月には「近大マグロ使用 中骨だしのまろやかな魚介塩ラーメン」を発売し、ヒット商品になっているそうです。

 同様に、近畿大発ベンチャー企業のクロモンコスメティックは、薬学部の研究成果を盛り込んだ高純度スッポンコラーゲンを入れた化粧品シリーズを販売しています。

 また、UHA味覚糖(大阪市)も“近大マグロ”のコラーゲンを使用したグミを販売しているそうです。

 この2件の事例は立派な産学官連携成果です。

 こうした成果を上げている結果、近畿大学リエゾンセンターへの技術相談件数は、平成27年度(2015年度)には300件を超え、この6年間で6倍以上に急増しているとのことです。

 近畿大学リエゾンセンターの方は、「関西では私立大学は“関関同立”という言葉があります」といって、関西の名門私立大学とは、関西大学、関西学院大学、同志社大学、立命館大学の4校を指したと説明します。この上位4校に近畿大学は割って入ろうとしているそうです。実際に、女子学生の入学者数はかなり増えているそうです。

シャープが発売するロボット型携帯電話「RoBoHoN」は価格が高すぎると感じました

2016年04月25日 | イノベーション
 シャープは2016年4月14日に、ロボット型携帯電話「RoBoHoN(ロボホン)」を翌月5月26日から発売すると発表しました。

 このロボット型携帯電話「RoBoHoN」は体長約19.5センチメートルの小型ロボットの身体の外観を持ち、簡単な2足歩行ができ、持ち主とある程度の会話などができます。人工知能(AI)を搭載しているからです。これが大きな特徴です。



 この小型ロボットは約800万画素のカメラ機能を持ち、その撮影した画像などを投影できるプロジェクターを備えています。そして、背中には約2インチのディスプレーを持っています。

 このロボット型携帯電話「RoBoHoN」は本体価格が19万8000円です。これに消費税を加えると、約21万円近くになります。

 さらに、1カ月当たり980円の「ココロプラン」への加入が不可欠になります。この「ココロプラン」に加入して初めて、いろいろな基本機能が使えるようになります。サービス機能を有料化するビジネスモデルは、ソフトバンクのヒト型ロボット「Pepper」と同じです。

 故障した時に備える修理対応料は1カ月当たり990円からです(正確には、故障した際に修理料金を割引く保証サービス)。いろいろと経費がかかります。

 ロボット型携帯電話「RoBoHoN」と称していますが、基本の通信仕様はデータ通信サービスのWi-Fiなどです。つまり、電話として使うには、音声SIMを利用する契約が必要になります。標準で音声通話SIM(5GB)は1カ月当たり2280円必要です(標準モデルで)。

 ここまでの説明で、これまでのようにスマートフォンを契約し利用するより、いろいろな知識が必要なことが分かります。スマートフォンでも音声通話SIMの契約をしていますが、注文時には合計利用金額として提示されるために、“SIM”利用料金は意識しません。

 こうしてみると、ロボット型携帯電話「RoBoHoN」は20万円+数万円の利用料になる計算です。

 こんなに高い“スマートフォン”プラスアルファの製品は実際に売れるのかどうか・・。シャープは毎月5000台を売る販売戦略を立てているそうです。このロボット型携帯電話「RoBoHoN」の外観を見て、見かけは若い女性向けのデザインではないかと感じました。かわいらしさをデザインした外観と感じました。愛くるしい動きと話し方が気にいる若い女性は少なくないと思います。

 問題はまず製品本体が大きすぎ、重いことです。スマートフォンを持ち歩くのとは、訳が違います。持ち運びしにくいと思います。

 そして、製品本体の価格と毎月の利用料などを考えると、先進的な製品を使いこなす一部の方々が当面の買い手・ユーザーです。どんな製品でも、一番最初はこうした製品機能の先進性を気にいってくれる一部の先進ユーザーです。となると、デザイン的には愛くるしい動きのデザインよりは、先進機能を直接的に訴える外観にした方が、最初のユーザーには好まれると思います。女性向けの外観よりも“おたく”男性向けのデザインの方がいいと感じました。

 このロボット型携帯電話「RoBoHoN」は、専用アプリケーションをダウンロードすれば、タクシーの配車やレストランの検索などもできる便利な秘書機能サービスを利用できるからです。

 実は、このロボット型携帯電話「RoBoHoN」の製品化は、経営再建中のシャープの中で、シャープらしい製品として、期待されたものです。しかし、経営再建中のシャープが台湾の鴻海精密工業傘下に入る契約を締結した4月2日までは、開発継続かどうかは不明とのうわさが流れました。赤字事業になる可能性がある製品開発を認めないだろうとの憶測です。

 結局は、シャープの親会社となった鴻海精密工業は、人工知能の利用技術を評価し、人工知能の可能性を探る点を評価したもようです。これからは、シャープと共同開発するテレビなどの主力製品に、ユーザーと対話する人工知能機能を利用する戦略だからです。