ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

東京モーターショー2017の欧州メーカーの展示ブースは、華やかな雰囲気です

2017年10月28日 | イノベーション
 2017年10月28日から第45回東京モーターショー2017の一般公開が東京都江東区の東京ビッグサイトで始まりました。

 第45回東京モーターショー2017に行った話の続きです。

 その東京モーターショー2017に出展している欧州のドイツなどの自動車メーカーの展示ブースでは、高級車などが華やかに展示されています。

 ドイツのメルセデスベンツの展示ブースでは、高級車仕様用のAMG仕様が展示されています。





 ドイツなどの欧州の自動車メーカーでは、そのベース車を注文し、その内装や外装の仕上げは専門企業に任せるのが一般的です。AMGはその代表格のグレードになっています。自動車登場以前の馬車の内装や外装を仕上げる伝統が息づいています。

 ドイツのアウディの展示ブースに展示された「A8L」です。来年2018年に自動運転技術「レベル3」を世界で初めて搭載すると発表されています。販売はドイツ国内のようです。



 その「A8L」の運転席です。多くの方が興味を持って観察しています。



 ドイツのBMWの展示ブースです。価格がかなり高価な乗用車のようです。



 ドイツのポルシェの展示ブースです。展示ブースの床は少し傾いています。





 いくらか前のモーターショーの面影のある展示スタイルです。

 ドイツのフォルクス・ワーゲン(VW)の展示ブースです。



 フランスのシトロウエンの展示ブースです。上から見たものです。



 カナダの3輪バイクメーカーのBRPの展示ブース(日本法人)です。





 この3輪バイクは前輪が2輪で、後輪が1輪の仕様です。たまに、実際に走っている3輪バイクを見かけると、やはり驚きます。

東京モーターショー2017のトヨタ自動車ブースでは、未来の電気自動車が展示されています

2017年10月28日 | イノベーション
 2017年10月28日から第45回東京モーターショー2017の一般公開が東京都江東区の東京ビッグサイトで始まりました。

 その東京モーターショー2017のトヨタ自動車の展示ブースでは、4人乗りの電気自動車(EV)の「Concept-愛i」が展示されました。これはコンセプトカーです。





 外観では、ドアが開くシステムが非常にユニークです。ロボットアームのような仕組みでドアが開き、垂直方向に回転して、出入りの開口部が広くなります。





 この電気自動車(EV)の「Concept-愛i」は、室内に配置されたカメラとマイクによって、運転者の覚醒状態・疲労度合いを観察したデータをAI(人工知能)が分析し、もし運転者の疲労度が大きいと判断すると、自動運転に切り替えるというコンセプトです。

 同時に、2人乗りの小型電気自動車(EV)の「Concept-愛i」も展示されました。



2人乗りの小型電気自動車でもAIが運転者を支援します。

 次世代のSUV(スポーツ・ユ-ティリティー・ビークル)とバンをクロスオーバーさせるコンセプトカー「Tj CRUISER」も公開されています。





 このコンセプトカーはトヨタ自動車が最近、実用化し普及させ始めた車両設計・開発手法の「TGGA」を適用するという前提の車です。

 自動運転システムとしては、単眼カメラとミリ波レーザーを組み合わせて搭載する仕組みを想定しています。現在の自動運転システムの性能を上げるものです。

 ハイブリット技術を適用するスポーツカー「Toyota GR HV Sports Concept」も展示されています。





 2018年の夏に発売する予定の新型「クラウン」のベースモデル「CROWN Concept」も披露されています。従来からの「走行性能の追求」に加えて「コネクティッド技術の進化」を加味する開発を目指しているそうです。



 日本の自動車メーカーとして、トヨタ自動車は次世代技術を具現化し、ユーザーニーズに応えていく姿勢です。

日産自動車の電気自動車事業のコアとなる電池を巡るうわさについて考えました

2017年09月13日 | イノベーション
 日産自動車は2017年9月6日に、2代目となる新型の電気自動車(EV)「リーフ」の詳細な仕様を発表しました。その技術ポイントの一つは、搭載したリチウムイオン2次電池です。今回はそのリチウムイオン2次電池について多少、考えてみます。

 この2代目の電気自動車「リーフ」は、1回の充電によって走れる航続距離を「JC08モードで400キロメートル」と発表しています。搭載するリチウムイオン2次電池の容量を40キロワット時(kWh)と、約30パーセント増やした開発成果です。

 搭載するリチウムイオン2次電池の電池パックの大きさは初代の「リーフ」と同じです。



 電池パックのエネルギー密度向上をできた理由、電池セルのエネルギー密度の向上と、電池パックとしての部品点数の削減を進めて、無駄な電力消費を減らしたためだそうです。

 電池セルでは、電池材料を見直し、ラミネート型セルに充填する電池材料の量を増やしたそうです。 当然、電池材料については詳細は公表していませんが、正極にはニッケル-マンガン-コバルト酸リチウム系(NMC3元系)、負極にはカーボンを使っていると推定されています。従来材料の改良品と推定されています。

 セルの厚みは従来と比べて0.9ミリメートル厚くなっているため、その分だけ充填量を増やしたと推定されています。セルのエネルギー密度は240ワット時W/キログラム(h/kg)程度と考えられています。

 そして、8枚のセルをステンレス鋼製のケースに入れてモジュールとし、24モジュール(192セル)で電池パックを構成しています。電池パックの質量は約300キログラム、総電圧は350ボルトです。

 オートモーティブエナジーサプライ(AESC、神奈川県座間市)がセルとモジュールを製造し、日産自動車ががパックに組み立てる態勢です。

 電池パックの部品点数の削減は、これまで初代「リーフ」を走らせてきたことで得られたデータを生かし、たセルの劣化を含めた電池の挙動分析の成果と伝えています。

 従来品は、品質過剰な設計となっていた部分を見直したようです。また、ハーネス類についてもできるだけ短く、かつ組み付けやすくできるように工夫を凝らしたようです。

 日産自動車は電池パックの1キロワット時(Wh)当たりのコストを公表していませんが、「競合他社をベンチマークしており、トップレベルの安さ」のようです。

 さて、問題は日産自動車の電気自動車事業の長期戦略が読めないことです。実は、同社は日産自動車が株式の51パーセント、日本電気(NEC)が同42パーセント、NECエナジーデバイスが同7パーセントをそれぞれ保有していましたが、今年8月に日本電気系の保有する株式を日産自動車に売却したそうです。

 問題は、日産自動車がオートモーティブエナジーサプライを中国系企業に売却するという動きです。日本経済新聞紙は、2017年5月に中国系ファンドに売却へとの動きを伝えています。

 電気自動車事業の核となるリチウムイオン2次電池事業を売却する動きがとても気になります。

 なお、日産自動車が発表した2代目の電気自動車(EV)「リーフ」の詳細な仕様については、弊ブログの2017年9月10日編をご参照してください。  

日産自動車は、2代目となる新型の電気自動車「リーフ」を発表しました

2017年09月10日 | イノベーション
 日産自動車は2017年9月6日に、2代目となる新型の電気自動車(EV)「リーフ」の詳細仕様を発表し、翌日の9月7日の大手新聞紙各紙は本格的な電気自動車の登場と報じました。

 2代目「リーフ」は日本では10月2日に発売される予定です。その後の2018年1月には、米国やカナダ、欧州で出荷を開始する計画です。

 この新型電気自動車「リーフ」は、1回の充電によって走れる航続距離を「JC08モードで400キロメートルまで延ばした」と発表しました。



 2010年12月に発売された初代「リーフ」は、航続距離が200キロメートルでした。

 今回、航続距離が伸びた最大の理由は、搭載するリチウムイオン2次電池の容量を40キロワット時(kWh)と約30パーセント増やしたからです。

 初代「リーフ」は航続距離が短いといわれました。この初代「リーフ」に搭載したリチウムイオン2次電池の容量は24キロワット時(kWh)でした。このために、途中で電池だけはマイナーチャンジによる改良を加えて、2012年には航続距離を228キロメートルに延ばし、さらに2015年の部分改良では容量が30キロワット時(kWh)の電池モジュールに切り替えて、同280キロメートルまで延長していました。
 
 電気自動車は、従来のガソリンレシプロエンジンやディーゼルエンジ搭載車と違って、内燃機関からの排熱による熱の供給はありません。このため、冬期などはヒートポンプや電熱ヒーターなどの熱源を使って、シートや車内を暖めます。この時に、電源として電池を利用します。つまり、公表されたJC08モードで400キロメートルとは、室内を暖めていない時の話です。リチウムイオン2次電池を走行用にしか利用していない、ある種の理想的な状態での走行距離です(例えば、カーステレオを利用せず、エアコンも利用せずなどです)。

 電気自動車に搭載したリチウムイオン2次電池は、専用プラグを通して家庭用電源から充電します(リチウムイオン2次電池は取り外せません)。

 このため、「リーフ」はナビゲーション画面に「後、何キロメートル走行できるか」を常に表示し、電池の充電容量が減ってくると、ナビ画面の地図に近くの充電できる個所が表示されます。現実的には日産自動車か三菱自動車の販売店などで主に充電できます。個人商店などでも、充電器を備えているお店もあります。ただし、これは都市部を走行中の話です。山の中には、販売店などはありません(ガソリンスタンドもないですが・・)。

 初代「リーフ」は、販売価格が約400万円で、補助金などが用意されました。この初代「リーフ」は「これまでに累計30万台近くを販売された」(日産自動車)だけでした。
 
 この販売台数は、当初の販売目標の5分の1に留まっています。この販売不振を打破するために、日産自動車は全面改良した2代目の電気自動車「リーフ」を世に出します。

 2代目「リーフ」の車両寸法は全長4480×全幅1790×全高1540ミリメートルです。初代「リーフ」に比べて全長を35ミリメートル、全幅を20ミリメートル、全高を10ミリメートルとそれぞれ長くなっています。ただし、ホイールベースは2700ミリメートルで変わりません。車両質量は1490~1520キログラムです。

 2代目「リーフ」の価格は、廉価グレード「S」が315万360円から。プロパイロットやプロパイロットパーキングといった先進機能を標準装備する最上位グレード「G」が399万円600円です(なお、国からは40万円の補助金を受けられる見通しです)。

日本経済新聞紙などが報じている、ドイツのアウディの自動運転機能車を調べてみました

2017年07月19日 | イノベーション
 2017年7月12日に発行された日本経済新聞紙の夕刊は、ドイツのアウディが、自動運転機能のレベル3を搭載した最上位モデル「A8」を今秋から市販することなったと報じています。

 日本経済新聞紙のWeb版である日本経済新聞 電子版では、見出し「アウディ自動運転車、影の主役は低コストHV」と報じています。



 ドイツのフォルクスワーゲン(VW)傘下の高級車自動車メーカーのアウディは、最上位車種「A8」に自動車が主体的に機能する自動運転機能の「レベル3」を搭載したモデルを今秋から販売すると発表しました。



 日本経済新聞紙の記事では、この話題を集める自動運転車登場の裏側では、もう一つ注目される電動化技術があると伝えています。アウディが新モデルに標準搭載するハイブリッドシステムが低コスト版になっていることです。このハイブリッドシステムは従来の半分に低コスト化されていると分析します。ハイブリッド車の事業化で先行した日本の自動車メーカー勢に対抗すべく、欧州の自動車メーカーが巻き返しに動き出した動きの一つと解説します。

 さて、アウディが最上位車種「A8」に搭載する自動運転機能の「レベル3」は、ドイツのアウトバーンなどの高速道路で、時速60キロメートル以下と低速の時に、自動車が主体的に自動運転し、運転者はステアリングホイールを手放しで運転できると伝えています。

 アウトバーンで時速60キロメートルの渋滞状態とは、都市部のごく一部で発生する渋滞の事態で、アウトバーンでは、あまり自動運転状態を適用することは無いと思います。

 この疑問に対して、Webサイトを調べてみると、日経ビジネスオンラインの中に、この自動運転車を発表した時の開発責任者のインタビュー記事がありました。

 この記事によると、アウディがスペインのバルセロナ市で開催した発表会で、旗艦車「A8」の新型モデルに、世界で初めて「レベル3」に相当する自動運転機能を搭載すると公表しました。

 日米欧各国が定義する自動運転技術は、「レベル1」から「レベル5」まで分かれています。これまで運転手が常にステアリングホイール(ハンドル)を握っておく必要がある「レベル2」と、自動車が主体となって運転する「レベル3」の間には、“深い谷”が存在するといわれています。

 このため、「レベル3」に相応する自動運転技術を保有していても、各国の法整備などの機が熟すまで”待ち”の姿勢を取る自動車メーカーが多かったのです。

 その中で、アウディの自動運転開発責任者のミルコ・ロイター氏は、今回の狙いを次のように語ったそうです。

 以下は、発言のエッセンス部分です。

 「レベル2」までの自動運転技術では、運転者はステアリングホイールを常に握っている必要があります。当然、運転中は何か別のものに意識を振り向けることは不可能でした。しかし、ステアリングホイールから運転者が手を離すことが許される「レベル3」以上では、運転者が何か別のことをできる時間が創出されます。

 従来は使えなかった時間を自動運転技術によって解放し、その結果生まれた時間の過ごし方が、今後の技術競争の土俵になっていくと考えています。それに向かって、アウディはいち早く自動運転を進化させ、先行して経験を積んでいく経営判断を下しました。

 この程度の利点で、ユーザーが自動運転技術「レベル3」を便利だと感じるかどうかは、とても疑問です。