マイコー雑記

行き来するもの書き留め場

「マダニ」というもの

2015年08月29日 | 日常

こちらに来て勝手が違うことといえば、

買い物やら学校やら様々あるのだけれど、

その中でもまず大きかったのが、「虫」だった。

 

一年の大半、

虫に出会わない生活に慣れた私、

出会わないのが当たり前で育った子供達。

 

食べ物を置いておけばハエやアリがくるし、

大小様々なクモもあちらこちらに巣を張り、

カエルが道を行き、

セミや大きなハチやガがガレージに飛び込んで来る。

 

前に住んでいた方がキッチンの隅に置いていってくださったのが、

食べ物の上にかぶせる蚊帳や虫駆除スプレー多種、だった。

 

そんな虫の中でも、当初我が家で最大の注意関心恐れが向けられたのが、

マダニ(ticks)。

 

1975年のコネチカット州での事例から名づけられた「ライム病」など16近くの病原体を媒介するとされ、

東海岸や内陸北部を中心に年々被害が増加。

今では米国で年に30万人が「ライム病」の診断を受けているという。

マダニに噛まれても、抗生物質をなるべく早く呑むことで(24時間以内なら最もいい)ほとんどの場合ことなくおさまるのだけれど、

一生様々な症状に苦しむことも。知り合いで亡くなった方もいる。

 

マダニについて初めて身近に聞いたのは、

長男が2年前ペンシルバニア州でのサバイバルワークショップに参加した時。

注意喚起されていたにも関わらず、その参加者の一人の子がライム病にかかってしまった。

長男も体を這うマダニを2週間のキャンプ中1度見つけたと。

 

このマダニ、

その吸血の仕方がなんともいえない。

頭部をヒトや動物の体にのめりこませセメントのような分泌物で固める。

数日そのままでいることもいるという。

10分から2時間近くかけこの吸血箇所を探して体を這い回るのだそう。

「ふくらみのあるホクロから手足が生えたようなもの」を見つけたら、

ピンセットで頭部を残さないように抜き取り、密封してすぐに病院へ。

 

 

それでも、アラスカの熊のようなもので、

適切な対処法を知っていれば、そうそう恐れることもないのだろうなと思っていた。

住んでいる人々は、日常生活でさして気にもしていないのじゃないかなと。

 

ところが、この家を世話してくださったエージェントの方と話していると、

「ああ、マダニの被害は東海岸では頻繁にあるのよ。

この家も森に囲まれているし、子供達外に出たら、必ず体についてないか調べてね。

あなた達は髪が黒くて頭部は見つけにくいだろうから特に気をつけて。

私の夫もね、ライム病なの」

 

!!!

 

少し調べてみると、年々被害は深刻。

地球温暖化で生態系が変化し、より北部でも被害がみられるなどマダニの生息範囲も広がったことや、

森林伐採で鹿が増えたことにも原因がある(ライム病を媒介するマダニはシカダニとも呼ばれシカから病原体をもらっているよう)とのこと。

 

しかも、温暖化で孵化や成長サイクルが変化し、

一ミリ二ミリほどの幼虫でさえ、病原体を媒介できるようになっているとも。

http://www.scientificamerican.com/article/global-warming-may-spread-lyme-disease/

 

オープンな身体部ならまだしも、

一ミリ二ミリが黒髪のなかにいたら、そうそう見つけられるだろうか・・・。

 

 

ライム病のほかにも、肉アレルギーを引き起こす症例を報告されているよう。

http://www.npr.org/sections/thesalt/2012/11/21/165633003/rare-meat-allergy-caused-by-tick-bites-may-be-on-the-rise

 

何年後かには、マダニへの抗体ワクチンなど様々発達し、被害もおさえられていくだろうとも言われている。

 

 

 

 

と、数日前、

シャワーを浴びて、ふとふくらはぎをみると、見慣れぬ黒い点。

よく見ると、ほくろでもなく、突き出している。

でも手足がないなあと思いながらも、長男に密封できるジャーと、ピンセットを持ってくるよう頼む。

「種ダニというのもいるらしいからね(のめりこむと手足が見えない)、ダニかもね。種ダニはライム病を媒介しないらしいけれど」と長男。

 

「頭部を残さないようにね、根元からね」と声をかけながら、

長男、ピンセットで黒い突起物を根元から抜こうとしてくれること5分ほど。

「とれた!」

ジャーに入れて。

長男:「動かないね。はがしても手足ないし。写真見ると小さくても手足あるみたいなんだよね(アイフォンで調べながら)」

私:「ね」

長男:「これって、ただのかさぶた・・・」

私:「みたいね・・・」

 

「かさぶたみたいなものをはがしたらダニだった」、

という体験者も多いようですが、

今回はどうも、本物の「かさぶた」だったようです。

 

他の子たちも、え、ダニ見つかったの?と、

わらわら「かさぶた」を見に集まってきました。

皆で笑い転げ。

 

神経質になり過ぎず、

できることを淡々としていけたらなと思ってます。

 

 

 

 


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2 コメント

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Unknown (Y)
2015-09-02 15:22:54
暑いからと木陰で休んでると上からダニが落ちてくるよ、とこちらで言われたことがあります(苦笑)。 蒸し暑くなってくると毎年学校で虱が流行するし、シロアリの被害も年中です。 寒い土地では経験せずに済んだことがたくさんあるよね。 
そうだね、神経質にならず共存できたらいいね。
でも、ある日真っ黒なごつい蟻の行列を家の中でみつけたときには、なかなか平常心ではいられなかったなあ。
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Yさん、コメントありがとう! (マイコー)
2015-09-02 23:16:00
心地いい木陰の木からも落ちてきちゃうんだものね。ここらあたりも、蒸し暑い中ひんやりとした森のトレールが心地よくて、その景色にもうっとりしてしまうのだけれど、「むやみに葉の生い茂るところに近づかない方がいい」と注意されていてね。

アラスカでYさんの娘ちゃんや息子君と森の中を駆け回っていた頃が懐かしいです。アラスカは皆で大きな音立てながら「熊」に注意だね。

そうはいっても、近所の子たちも結構暗闇の中森でかくれんぼするのが好きだったりね。それでその後は身体についてないかチェックするのがセットのようです。tickに噛まれたことある子周りにも結構いるみたいで、腫れてきたらすぐに病院へと。

こちらでも小さな蟻の行列に屋内で出くわしてうひゃーとなったけど、それがごつかったら・・・確かに。アラスカってホント虫フリーだったね。

この近所はプレスクールからティーンまで子供が多くて、アラスカでは体験したことのない近所の子供達とバス通学&帰宅後遊ぶといった毎日です。とにかく皆暗くなるまでよく遊ぶ。東海岸といえども都市から離れるとホントのんびりなんだなあという今のところの印象です。周りの建物といい、何だか時代を逆戻りして「昔ながらのアメリカ」に戻ったみたいな印象よ。あとここら辺りは学校や店にも近所にも、とにかくアジア人がいなくてね。暮らすうちにまた印象も変わっていくかもね。Yさん、今日もいい日をねー!
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