ダーリン三浦の愛の花園

音楽や映画など徒然なるままに書いてゆきます。

明日のためにその261-人生すべきとき

2017年06月06日 | 邦画
死を持って行なうべきこと。

終活、最近よく聞かれる言葉である。
人生の終点に向かって、人はそれぞれ現世での「後始末」を行なう。家族や、他の人々に迷惑をかけないため、自身で全てのものに決着をつける。考えるだけでも、迷路にはいった如く、その場をぐるぐる回ってしまいそうだ。
今回紹介する映画は「湯をわかすほどの熱い愛」。
人生末期を迎えた女性の一種「終活」を描いた作品である。
ストーリーを紹介しておこう。

町の銭湯「幸の湯」は、主人が失踪したためやむを得ず休業している。
その銭湯の女将、双葉は、いたしかたなくパン屋でアルバイトをして生計をたてている。
或る日双葉はアルバイト先で意識を失い、病院へ運ばれる。検査の結果、彼女は末期のガンで余命数ヶ月とのこと、治療方法もなく余命を生きることを医者から宣告される。
彼女は早速「やるべきこと」にとりかかる。
先ずは失踪した亭主を見つけること、これは私立探偵に依頼し、すぐに居場所が判明、早速亭主を迎えにいき彼を連れ戻し、次にやるべきことの「幸の湯」の再営業にとりかかる。
着々と「やるべきこと」を実行していく双葉だったが、病状は日に日に悪化してゆき..........

監督は以前このブログで紹介した「チチを撮りに」でメガホンを取った「中野量太」
彼の長編デビュー作に、本作品はあたる。
チチを撮りにから比べると、多少作りのキレのなさが無くなったと思われるが、どうして作品自体はしっかり作られている。
特に双葉を演じた宮沢りえと、安澄を演じた杉咲花が良かった。
宮沢は、余命幾ばくも無い双葉の、残りの人生をしっかり演じていた。
その凄みのある演技は、高く評価されるべきだろう。
杉咲も抑えた演技で、いじめられっこから徐々に抜け出すプロセスを上手く演じていた。
本件から脱線するが、杉咲はNHKの朝の連ドラ「ととねえちゃん」で三女の美子を演じていた。
私はそのときから、彼女の独特の演技に興味をもっていたが、この作品でそれが花開いたといっても過言ではあるまい。
人生、老いがきて、やがて終点である死を迎えることとなる。
この映画は人生において「やるべきことを、やるべきときにやる」と言う、当たり前であるが、なかなか実現の難しい「問題」を観客に問いている。
私もそうであるが、皆様も「やるべきこと」しっかりやっているだろうか。
私はその点、全く自信が無い。
なかなかしっかり出来た作品なので、是非見ることをお勧めする。

2016年、日本製作、2016年10月日本公開、カラー、125分、監督:中野量太

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