石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

利益は前年同期比減、前期比増:2024年1-3月期五大国際石油企業決算速報 (9)

2024-05-23 | 今日のニュース

III. 過去2年間の四半期業績推移

 ここでは2022年4ー6月期以降2024年1-3月期までの8四半期の業績推移を比較する。

 

(利益トップの王座を譲らないExxonMobil!)

1.純利益の推移

(図:http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-62.pdf 参照)

  2022年4-6月期は5社すべてが利益を計上したが、Shellの180億ドル、ExxonMobilの179億ドルを筆頭にChevron及びbpも100億ドル前後の高い利益を確保した。TotalEnergiesはこれら4社より低い水準の57億ドルの利益であった。

 

翌7-9月期はShellの利益は3分の1に、またbpはマイナスに転落した。Chevron及びTotalEnergiesが横ばいにとどまり、197億ドルの利益を出したExxonMobilが他社を大きく引き離し利益トップとなった。ExxonMobilの利益はその後減少傾向を示したものの、今期(2024年1-3月期)までトップの座を保っている。

 

Shellは2022年7-9月期以降毎期増減を繰り返し、今期はExxonMobilに次ぐ74億ドルの利益を計上している。Chevron及びTotalEnergiesは他社に比べ利益の変動幅が小さく、最近の四半期は50億ドル乃至60億ドルの利益を計上している。bpは他の4社に比べて利益が少なく、昨年4-6月以降は5社の中で最も低い利益水準にとどまっている。

 

因みに2022年4-6月期の利益を100とした場合、bpは4分の1に下落、ExxonMobil、Shell及びChevronも4割台に沈んでおり、TotalEnergiesのみが8四半期前の水準に戻っている。

 

(続く)

 

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見果てぬ平和 ― 中東の戦後75年(158)

2024-05-23 | 中東諸国の動向

(英語版)

(アラビア語版)

 

(目次)

 

第6章:現代イスラームテロの系譜(13

 

158 悪の枢軸イラクとの戦争(2003年)(1/4)

911同時多発テロで暮れた翌2002年1月、ブッシュ米国大統領は一般教書演説でイラン、イラク及び北朝鮮を「ならず者国家」(テロ支援国家)と名指しで批判し、これら3か国をひとまとめにして「悪の枢軸」と呼んだ。

 

「ならず者」、「悪の枢軸」という言葉は実にわかりやすい言葉である。テキサス出身のブッシュ大統領は正義の味方西部劇の保安官気取りであった。世界最強の国家元首の言動としては一寸軽はずみな感が否めないが、米国市民にとっては耳に響きの良い言葉なのであろう。そのことはトランプ前共和党大統領の言動を見ればよくわかる。とにかく米国の一般市民にとっては今も昔も米国は神(God)の正義をかざし悪を懲らしめる世界の保安官なのである。

 

ブッシュ大統領の戦略思想はブッシュ・ドクトリンと名付けられた。その思想の根幹にあるのが、テロリスト及び大量破壊兵器を拡散させかねない「ならず者国家」に対峙し、必要に応じて先制的自衛権を行使する、ということである。彼は『世界は米国側につくか、テロ側につくかのいずれかだ!』と叫んだのであった。

 

彼の思想は近代米国社会の底流に脈々と流れる新保守主義(Neo Conservative、いわゆるネオコン)そのものである。ネオコンは政治思想家フクヤマの理論を実践に移した政策集団と言えよう。彼らネオコンはアフガニスタン戦争では当面の敵ソ連を撃破するためイスラム勢力と手を組み、イランン・イラク戦争ではイランを打ち破るためスンニ派のフセイン・イラク政権を支援した。

 

(続く)

 

 

荒葉 一也

E-mail: Arehakazuya1@gmail.com

 

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