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第6章:現代イスラームテロの系譜(15)
160 悪の枢軸イラクとの戦争(2003年)(3/4)
こうして2003年3月、米国はイギリス、オーストラリアなど数か国と有志連合を組み、「イラクの自由作戦」の名のもとにイラクに攻め込んだ。戦いに臨む米軍には伝統に輝く二つの勇ましいスローガンがあった。第二次世界大戦そして湾岸戦争に続いて対イラク戦争でもこの掛け声が唱えられた。「ショー・ザ・フラッグ(Show the Flag)」と「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(Boots on the ground)」の二つのスローガンである。
これらを直訳すれば「ショー・ザ・フラッグ」は「旗(幟)色を鮮明に」、「ブーツ・オン・ザ・グラウンド」は「戦場に軍靴の音高く」ということになる。二つを合わせて意訳するなら「軍旗を押し立て前線に乗り込む」ということにでもなるのであろう。つまりそこにあるのは「敵か味方かはっきりさせろ」ということであり、そして「ともかく戦場で敵と直接対峙しろ。臆病者になるな」と叱咤激励するのである。テキサス出身のカウボーイの末裔ブッシュ大統領は、かつてインディアン(差別用語だとして現在では「ネイティブ・アメリカン」と称されているが)を蹴散らした騎兵隊長の気分だったと考えればわかりやすい。
(続く)
荒葉 一也
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