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第6章:現代イスラームテロの系譜(13)
158 悪の枢軸イラクとの戦争(2003年)(1/4)
911同時多発テロで暮れた翌2002年1月、ブッシュ米国大統領は一般教書演説でイラン、イラク及び北朝鮮を「ならず者国家」(テロ支援国家)と名指しで批判し、これら3か国をひとまとめにして「悪の枢軸」と呼んだ。
「ならず者」、「悪の枢軸」という言葉は実にわかりやすい言葉である。テキサス出身のブッシュ大統領は正義の味方西部劇の保安官気取りであった。世界最強の国家元首の言動としては一寸軽はずみな感が否めないが、米国市民にとっては耳に響きの良い言葉なのであろう。そのことはトランプ前共和党大統領の言動を見ればよくわかる。とにかく米国の一般市民にとっては今も昔も米国は神(God)の正義をかざし悪を懲らしめる世界の保安官なのである。
ブッシュ大統領の戦略思想はブッシュ・ドクトリンと名付けられた。その思想の根幹にあるのが、テロリスト及び大量破壊兵器を拡散させかねない「ならず者国家」に対峙し、必要に応じて先制的自衛権を行使する、ということである。彼は『世界は米国側につくか、テロ側につくかのいずれかだ!』と叫んだのであった。
彼の思想は近代米国社会の底流に脈々と流れる新保守主義(Neo Conservative、いわゆるネオコン)そのものである。ネオコンは政治思想家フクヤマの理論を実践に移した政策集団と言えよう。彼らネオコンはアフガニスタン戦争では当面の敵ソ連を撃破するためイスラム勢力と手を組み、イランン・イラク戦争ではイランを打ち破るためスンニ派のフセイン・イラク政権を支援した。
(続く)
荒葉 一也
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