(注)本シリーズは「マイライブラリー」の下記URLで一括してご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0459OilMajor2018.pdf
III. 2017年と2018年の5社業績比較(続き)
(上流部門の収益が低いShell!)
2.損益
(1)総合損益
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-11.pdf 参照)
2018年の利益を前年の2017年と比較すると各社ともに高い利益を計上、特にShell及びBPは対前年比2~3倍の利益を上げ、5社すべてが増益であった。5社のうちExxonMobil、Shellの利益は200億ドルを超えている。
2018年に5社で最も利益が高かったのはShellの234億ドルであり、前年の1.8倍である。またBPは5社の中で利益は最も少ないが前年の34億ドルから94億ドルに急増している。ExxonMobilの2018年の利益は208億ドルであり、2017年(197億ドル)同様堅実な業績を続けている。Chevron及びTotalも100~150億ドルの利益を計上、それぞれ61%及び33%の大幅な増益であった。
(2)上流部門と下流部門の損益比較
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-13.pdf 及びhttp://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-14.pdf参照)
各社の利益を上流部門(生産)と下流部門(精製)に分けてみると各社とも上流部門の利益の伸長が著しい。一方下流部門は利益の増減幅が小さくShell、Chevron及びTotal3社は前年を下回っている。
上流部門を見ると、2017年はShellが16億ドルで最も少なく、BP、Totalは60億ドルで並び、Chevronは82億ドルといずれも100億ドル未満であり、ExxonMobilのみが134億ドルの利益を上げた。これに対して2018年はBPが前年比4倍以上の146億ドルの利益を計上しており、ExxonMobil、Chevron、Totalも100億ドル以上の利益を計上している。
次いで下流部門を見ると、ExxonMobil及びBP2社は前年の利益を下回り、その他の3社が前年を上回る利益を出している。但しその振れ幅は小さく、Chevronの3割減益が目立つものの他の4社は1割程度の増減にとどまっている。
(注) 最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているなど各社によって異なるため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない
(各社とも毎年100億ドル以上をコンスタントに投資!)
3.設備投資
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-4-15.pdf 参照)
2017年と2018年の5社の設備投資は対前年比でいずれも増加している。ExxonMobilの投資額は231億ドル(2017年)→259億ドル(11%増)であり、2年連続して5社のトップである。これに続くのがShell(208億ドル→230億ドル、9%増)、Chevron(188億ドル→201億ドル、6%増)である。またBPは対前年横ばい(166億ドル→167億ドル)であった。Totalは2017年、18年とも5社の中で最も少ない投資額であるが、2018年は25%の156億ドルと大幅に増加し他社に追いついている。
(続く)
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前田 高行
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