(注)本シリーズ「BPレポート天然ガス篇」は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0275BpGas2013.pdf
1. 世界の天然ガスの埋蔵量と可採年数(続き)
(昔も今も欧州・ユーラシアと中東が二大埋蔵地域!)
(4)地域別の埋蔵量推移(1980年~2012年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/2-1-G03.pdf参照)
埋蔵量の推移を地域別に見ると、1980年は欧州ユーラシア地域が世界全体の35%を占め最も大きく、次いで中東地域が33%であり、この2地域で世界の埋蔵量の7割弱を占めていた。2000年代初めには両地域の比率は欧州ユーラシア46%、中東27%となり両地域の埋蔵量格差は拡大した。しかしその後欧州ユーラシアのシェアが下がり、2012年末はそれぞれ43%と31%となっている。両者の合計シェアは74%であり、1980年当時よりも高くなっている。
その他の地域では北米地域のシェアが大きく低下している。1980年に世界の14%を占めていたシェアは1990年には9%まで落ち込み、さらに2000年以降は5%にとどまった。同地域は天然ガスの最大の消費地域であるため(消費量については後述)、新たなガス田が開発されても生産が消費に追いつかず埋蔵量の増加につながらなかったのである。しかし北米地域は数年前から埋蔵量が増加する傾向にあり、これは存在が確認されていながら採掘が困難であったため可採埋蔵量に算入されていなかった大量のシェールガスが開発技術の進歩により埋蔵量に加えられたためである。
その他の地域ではアフリカ及び中南米のシェアはそれぞれ8%と4%であり、このシェアは30年間殆ど変っていない。なお前項に述べたとおり世界の天然ガス埋蔵量は1980年以降毎年増加しており、2012年は1980年の2.6倍に達している。このことからアフリカ及び中南米地域の埋蔵量も世界全体と同じペースで増加していることを示している。
アジア・大洋州地域は1980年のシェア6%から徐々にあがり2008年には10%に達したが現在のシェアは8%である。世界経済の発展に伴い地域の天然ガスの探鉱開発が活発化した結果、埋蔵量シェアが増加した訳であるが、近年同地域における天然ガス需要が急増し生産が消費に追いつかないため、埋蔵量が減少する傾向にあると言える。
(続く)
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