Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

あたし待つわ

2017-06-09 00:10:00 | コラム
映画監督、プロデューサーとしてたしかな能力があっても、創りたいものを創ることが出来るとはかぎらない―という真理に、なんとなく気づいたのは、映画史をきちんと学び始めた20歳のころだったか。

それでも映画制作者は、夢をあきらめない。
あえていえば・・・ひととしては、けっこう潔くないタイプなんだ。

英国の奇人テリー・ギリアムが念願の企画、『ザ・マン・フー・キルド・ドン・キホーテ』(ドン・キホーテを殺した男)の撮影を終えたことが報じられた。

20年以上の映画ファンであれば、ピンとくるだろう。

17年前に企画された映画であり、ジョニー・デップや(当時の)ハニー、ヴァネッサ・パラディが出演する予定だった。

しかしロケ地のスペインが洪水の被害に遭ったり、主演のジャン・ロシュフォールが椎間板ヘルニアを患ったりして、撮影が度々中断され、資金が底を尽き始める。

ギリアムは制作中断を決意、ドキュメンタリー映画『ロスト・イン・ラマンチャ』(2002)にその顛末が描かれている。





「どうやら、ギリアムがまた動き出したらしい」と報じられたのは、たしか去年だったと思う。

すでに撮り終えているのだからもう大丈夫だろうが、これで編集作業中に事故などがあり、結局は完成しなかった・・・となったら、これほど呪われている映画もないだろう。


ある企画に対して、映画ファンが出来ることといったら、「ひたすら待つ」ということだけである。

だからこそ、その作品が駄作であった場合、怒りも通常の2倍3倍になってしまうのだが・・・。


さて、ある企画が滞ってしまう理由には、ギリアムのようなトラブルのほかに、以下のようなケースもある。


(1)資金難

橋本忍は、『砂の器』(74)映画化のための資金を、約10年かけてかき集めたという。

(2)技術開発の問題

キューブリックは未来世界を描くにあたり、まだ映像技術が追いついていないことを理由に『A.I.』(2001)の企画をあきらめ、



先に『アイズ ワイド シャット』(99)を撮り、これが遺作になってしまった。

(3)企画が山のようにあり過ぎた

『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002)や『沈黙』(2016)の制作が大幅に遅れた理由のひとつとして、スコセッシのもとに企画書が舞い込み過ぎている、、、というのがある。




人気者は、それはそれで辛いよね・・・って話だろうか。


スコセッシには『天国と地獄』(63)のリメイク企画も「かつて」あって、これは結局流れてしまった。

本人的にはあきらめがついているのだろうが、じつはファンのほうが「思い返してくれないかな」と思っている―そんなケースもあるのだった。

…………………………………………

明日のコラムは・・・

『初体験 リッジモント・ハイ(223)』
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1 コメント

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シリーズ物再開とか (夢見)
2017-06-09 09:06:29
俳優さんが全部入れ替わっての続編とか

映画雑誌で制作が発表されて いつのまにか公開なく消える映画のニュースも

映画は夢
夢の実現にはーきっと もんのすごい苦労があって
その中で完成させていく
そして完成したものが人に受け入れられる
当たるとも限らないのだけれど
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