Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(270)根津甚八

2015-03-22 05:42:44 | コラム
47年12月1日生まれ、67歳。
山梨出身。

公式プロフィール

ビートたけしの顔面麻痺。

田代まさしの、何度目かの逮捕時。

そして根津甚八(ねづ・じんぱち)の、焦燥し切った顔。

あんまり趣味のいいことではないですが―これ、自分にとっての「三大・芸能史における、ショッキングな顔の変化」。

根津さん。
あんなに男前で、あんなに女にモテそうだったのに・・・。

2004年―交通事故を起こして、被害者を死亡させてしまう。
その数日後、テレビカメラがおさめた根津さんは、精神的なショックからひとりで移動することも出来ず、夫人に支えられて、ゆっくり、ゆっくりと歩いていました。

うつ病を患っていたそうです。

本人や夫人のショックも相当なものだったでしょうが、大好きな俳優のひとりでしたので、自分も堪えました。

現在は俳優業を引退、スタッフとして業界には留まっているものの、スクリーンで拝むことは出来そうにありません。


※石井隆と出会って以降の根津さんは、ほんとうに活き活きとしていたなぁ




<経歴>

野球で有名な日大三高出身。

69年、状況劇場(主宰・唐十郎)に入団。
真田十勇士から取った根津甚八という芸名は、唐十郎がつけたそうです。

映画俳優デビュー作は、75年の『濡れた賽の目』。

日本映画で初めてR指定を受けた唐十郎の怪作『任侠外伝・玄海灘』(76)、
初主演を果たした『その後の仁義なき戦い』(79)、
黒澤にも見初められ、『影武者』(80)に出演する。

『駅 STATION』(81)、傑作『さらば愛しき大地』(82)、『この子の七つのお祝いに』(82)、『キッドナップ・ブルース』(82)
黒澤の『乱』(85)、『竜馬を斬った男』(87)、『吉原炎上』(87)、『肉体の門』(88)、『226』(89)、『ラッフルズホテル』(89)。

91年、石井隆と出会い『月下の蘭』に出演。
以降、『ヌードの夜』(93)や『天使のはらわた 赤い閃光』(94)、『夜がまた来る』(94)、『GONIN』(95)などで石井組の常連俳優となる。

とくに『夜がまた来る』は、皆に観てほしい傑作。
堕ちて輝くヒロイン・名美(夏川結衣)を愛し、必死で守ろうとする村木を鮮烈に演じています。

名美と村木はいろんな俳優が演じていますが、個人的には、夏川×根津のコンビが最強ですね。

『ルビーフルーツ』(95)、『さよならニッポン!』(95)、『南の島に雪が降る』(95)、『夏時間の大人たち』(97)、『不機嫌な果実』(97)、『黒の天使 Vol.1』(98)、『たどんとちくわ』(98)、CGがハリボテのようだった『梟の城』(99)、『金融腐敗列島 呪縛』(99)。

2000年代に入ると・・・

『死者の学園祭』(2000)、『REDSHADOW 赤影』(2001)、『許されざる者』(2003)、『ドラゴンヘッド』(2003)、『るにん』(2004)などなどキャリアは途切れないものの、なかなか作品には恵まれないようになりました。

じつは、事故を起こす前の2002年には「右目下直筋肥大」を患い、それを隠すためのメイクにひじょうに時間を要したとか。
根津さんは俳優活動を縮小、そこで起きたのが、あの交通事故だったのです・・・。

不幸の連続を前にしては、気の毒としかいいようがありません。


可能であればスクリーンの世界に復帰して、あの男前な演技をもういちど拝みたいところではありますが。

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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』

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明日のコラムは・・・

『にっぽん男優列伝(271)野村宏伸』

コメント (2)
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