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ファイナンシャル・ジャーナリスト 竹川美奈子のブログ。
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税制調査会、証券税制・軽減税率廃止で一致

2010-10-25 14:22:09 | リンク
現在、投資信託の売却益や分配金については従来の20%から10%に軽減されています。その適用期間は2011年末(平成23年末)まで。金融庁では「平成23年度税制改正要望項目」(平成22年8月)で軽減措置延長の要望を出していましたが、10月21日に政府税制調査会の専門家委員会(委員長・神野直彦東大名誉教授)では、「予定通り平成24年1月から本則の20%に戻すべきだとの認識で一致した」と報道されています。

証券優遇税制 廃止方針 税調専門委(読売オンライン)
証券優遇税制廃止で一致(サインケイビズ)

税制調査会 第9回 専門家委員会(平成22年10月21日)資料一覧
資料個人所得税2

資料をみると、勤労所得や利子所得、諸外国と比較しても、いまの10%は低いという主張のようです。また、一部報道では、相変わらず「金持ち優遇遇」といった批判もでているようですね・・・。ただ、現状金持ち世帯が株や投信をも有しているから、即金持ち優遇=廃止というのは疑問です。

金融庁「平成23年度税制改正要望項目」(平成22年8月) の12Pをみると「軽減税率導入後に、株式・株式投資信託の保有を伸ばしているのは、高所得者層よりも、むしろ中・低所得者層」という指摘もあります。

いまは証券投資の中心はたくさんの金融資産持つ高齢の方々かもしれません。けれど、長期的に資産形成を考えるべきはむしろ若い世代。リタイアに向けた資産形成の必要性も高まっています(将来に向けた稼ぎ力があるので相応のリスクをとれる)。

また、最近は投信の積立も月々1000円からできるようになってきています(こういう現状をご存じなのでしょうか!?)。投資=金持ちのものという発想はそろそろやめませんか?

この廃止は最終的な決定事項ではないので、今後の動きに注目しましょう。以前から複雑と指摘されている証券税制、仮に軽減措置を廃止するのであれば、せめて金融一体課税を導入して損益通算の範囲を広げる、日本版ISAの拡充(これについては別の日に詳しく)、もっというと日本版IRAの導入等も含めて、きちんと検討してほしいものです。

<追加>
税調専門委を受けての自見大臣会見の質疑
*国会中は院内での会見が多く、参加できていません。