3月2日 続き
上田駅前から青木バスターミナル行きの千曲バスに乗車。
乗り込むと大きなコンテナーが2つも席を占拠していて、見ると青木村行きとある。普通の路線バスを配送に使っているらしい。
この路線は地元の脚らしく、ほとんど各駅停車で人の乗り降りがある。
そんなわけで終点までは30分かかったけれど、乗車賃は300円とお安い。
バスを降りると宿の迎えの車が待っていて、ご主人と話すうち10分もせずに目的の田沢温泉に到着。
狭い石畳の温泉街(?)に入ってすぐ、「ますや旅館」の看板が見え
門の内側には堂々たる旅館建築がそびえている。こちら、本館、西館、東館など明治から昭和までの建物が複雑に入り組み、うち6棟が登録有形文化財に指定されているとのこと。最近この有形文化財にほんと弱いのだ。
玄関に入ると小さなロビーにはお雛様を始め物があふれているけれど
鉄道省指定旅館の看板や、明治初期の旅館の絵図など歴史を感じさせて素敵。
受付は小さな大女将の担当。最初こちらに予約の電話をした時の応答はなにやらそっけなくて、特に東京からだと告げると「一応お受けしますが」と嫌がっているようにも聞こえて不安だったのだが、来てみれば愛想良く、上田を観光してきたというと皆さん喜ぶ。
ここから先はお嫁さんが接客をしてくれて、「今日は空いているので大きい部屋にしました」と通されたのは
ロビーを出てすぐの急階段の上にある「藤村の間」。
8畳2間続きの奥の部屋にはこたつが置かれ、大きな額の下手な字(失礼!)は藤村の息子が書いたもの。
藤村がまだ若い明治24年にこの部屋に泊まったとのことで、部屋は基本当時のまま。
なので部屋は微妙にかしいで外側のガラス窓には隙間が見え、障子を閉めていないと寒い。
そのため丹前とカイロまで用意してくれていたが、ファンヒーターを着けてこたつにもぐれば問題なく、障子の威力を実感。
洗面とウォシュレットもこの部屋専用で、一番安い部屋をお願いしたのに一番いい部屋にしてもらっちゃった。
窓から外を見ると長い廊下のかなり先に湯屋の屋根が見えるので館内探検に。
藤村の間への急階段の向かいには東館への階段。
その手前の扉の先には長い廊下が伸びて、たくさんの色紙や古いポスターが並んでいる。
途中、卓球室の表示が見えたので行ってみると
懐かしや、「ピンポン室」には卓球台が3台。この宿、「卓球温泉」なる1998年の松坂慶子主演の映画のロケ地だったのだそうだ。
廊下はさらに続き、左手の障子の向こうは大広間、右手のガラス戸の向こうには東館、その向こうに自分の部屋も見える。
そしてやっと大浴場に到着。
この宿でここが一番新しいだろう、旅館の他の部分に比べて趣はないが、小さな露天まで付いた浴室は機能的で清潔だ。
と浴室は覗いたが、まだ明るいので外へ。
田沢温泉の石畳沿いにはますやさんの他にあと2軒旅館があるが、斜め向かいのたまりやさんは既に廃業したとのこと。
そのまた向かいにあるのが共同浴場の「有乳湯(うちゆ)」で、これに入りに来た。
入浴料は200円だが、宿で券をもらってきたので受付のおじさんに渡す。
中は5、6人で一杯になる浴槽が一つにシャワー付きのカランが5つ。洗い場は一つづつ仕切りが付いて使いやすく、シャワーを出すと硫黄がぷーんとにおう。
浴槽のお湯は無色透明で40℃あるかないか、入るとたちまち体に細かい気泡が付いて、これをぬぐうとつるつるしてものすごく気持ちいい!
地元の奥様方でにぎわっていたが、ぬるいので皆さん口元までお湯に浸かってゆったり。本当に出たくなくなるほどいいお湯だ。
良く温まった所で宿に戻り、テレビを見ながらうだうだしていると、若女将が本来は食事処でとる夕食を部屋出しにしてくれるという。
聞けば本日の客は自分一人、食事処を暖房するより持ってきた方がいいということらしい。
そこでありがたく部屋に運んでいただいた食事。
最初から品数多く、手の込んだ八寸。手毬の器に入っていたのは地蜂の蜂の子。甘辛い佃煮になっていて、見ても虫とはわからずおいしくいただく。
揚げそばの入った鍋はかなり甘目の汁だが、黒コショウが効いて意外な味付け。
馬刺しや桜鱒のお造りの手前はかぼちゃ餡の茶わん蒸し。中にチーズまで入って具沢山のプリンのよう。
その後来たのはきれいなビーフシチュー。これもお肉たっぷり、その上大根やカブ、むかごまで入ってとてもおいしく、御飯にはフキ味噌、お味噌汁は山椒が効いてどの皿も工夫されて味付けもいい。
デザートの黒いものも一つは羊羹、一つはチョコブラウニーで大満足。
なんとかお腹を落ち着かせたら、お風呂は22時までだというので長い廊下を通って浴室へ。
暗い廊下から振り返ると、自分の部屋にだけ明かりがともっているのが見える。
こちらのお湯も40℃ほどの長風呂仕様。湯口にコップがあったので飲んでみるとしっかり卵のような硫黄臭がする。
ただしこちらのお湯では有乳湯のような泡付きは見られない。若女将は同じお湯と言っていたが、有乳湯は田沢2号のシングルモルト、宿のお湯は田沢1,2,3号の混合でちょっと違う。温泉とは微妙なものだ。
部屋にすでに敷かれていた布団は厚いマットが2枚、羽毛の上掛けの上下に毛布があって、食事の前には湯たんぽも入れてくれた。
温泉で温まって布団にぬくぬく。古くて静かな宿は落ち着く。
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月1回の温泉旅、いいんじゃないかと思います。
海外旅行もなかなか行きづらいですしね。
でも旅館はお客さんがほとんどいなくて、営業していただくのも申し訳ないほど。
行ってあげてください。