令和5年12月22日に閣議決定された『こども大綱』において、「共働き・共育ての推進」(「共育て」は、文脈によっては「保護者と学校・保育所等とが連携すること」あるいは「地域社会全体における子どもの成長支援」とも解されるが、ここでは「両親ともに(特に父親が)育児に参加する」という意味)という方針が示された。
これを受けて、雇用保険の給付制度として「出生後休業支援給付金」(雇用保険法第61条の10)と「育児時短就業給付金」(同法第61条の12)が新設され、今年4月1日から施行されることとなった。 このうち前者は、原則として夫婦が共に育児休業(出生時育児休業を含む。以下同じ)を取得した場合に支給されるので、特に男性の育児休業取得を後押しするものと期待される。
具体的には、男性は子の出生後8週間以内、女性は産後休業後8週間以内に、夫婦が共に14日以上の育児休業を取得した場合に、休業前賃金の13%相当額(最大28日分)が支給される。 これは「育児休業給付金」または「出生時育児休業給付金」(いずれも休業前賃金の67%相当額)に加算されるため、併せて休業前賃金の80%を受給できることになる。
ただし、次のような場合は、配偶者が育児休業を取らなくても受給できる。
1.配偶者が産後休業中
2.配偶者が無業、自営業者・フリーランス、日々雇用される者など
3.配偶者がいない(配偶者が一定要件の行方不明の場合も含む)
4.被保険者が配偶者から暴力を受け別居中
5.配偶者が被保険者の子と法律上の親子関係がない
6.その他これらに準じる事由で育児休業給付の受給資格がない場合など
これを見ると、男性の場合は「子の出生後8週間以内」は「1」に該当するケースが大多数と思われるので、受給に係るハードルの低さも給付のメリットも感じられやすそうだ。 とは言え、夫が育児休業を取得すれば妻も同じ給付を受けられるのだから、決して“男性だけにメリットがある制度”というわけではない。
ところで、会社は、従業員が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た時に、育児休業制度等について個別に周知し、その意向を確認しなければならない(育児介護休業法第21条)。 今後は、その説明内容に今般の給付金拡充についても加えることになるので、失念なきよう留意したい。
併せて、男性の育児休業取得が増えることを想定しておかなければならない。 もちろん、制度利用を控えさせるような言動があってはならないことは言うまでもなかろう。
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