「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「ヴェルニー公園のバラ苑」 その六

2010-07-06 16:33:43 | 和歌

 淡い黄色の「ソリドール」が、ひと際鮮やかであった。

 花数は深紅のバラが圧倒的に多い中で、梅雨のどんよりした空模様の公園のここだけが、光り輝く
かのような存在であった。



  左: ソリドール
  右: スイート・ドリーム(英) 


 殆どのフランス種のバラの中で、数少ない英国種のスイート・ドリームが、石垣に沿って蔓を伸ばし、
小ぶりの花を沢山咲かせていた。

 このバラの花は、縮小写真では定かに判別し難いが、花形に特徴がある。周辺の花びらの形は通常の姿だが、中心ほど複雑に入り組んで、何やら人の心を覗き込むかのように思われる。人は折に触れ事に触れ、様々な事柄を胸に呑みこんで、思慮も判断も、ましてやその感情をも勘案すれば、一筋縄ではない筈だ。そんな心の内を覗いて絵に描けば、このバラの花の姿のようになるのではあるまいか。


            一輪の薔薇は小さな太陽を

            花芯に持つらし輝く姿は


            花びらの小さな剣を手にとりて
            
            胸の想いを何に刻まむ


            蔓薔薇の花の姿にあれやこれ

            こころの内を晒す心地す





  左: マーガレット・メリル


 何時もは中々お目に掛れないヘリコプター空母「ひゅうが」が、こちら側の岸壁に係留されていた。
「ひゅうが」に最も近い「ヴェルニー公園」のベンチには、青年が読書に耽り、公園の隅には白薔薇の
「マーガレット・メリル」が、馥郁とした香りを漂わせていた。

 さる筋の情報では、わが国の「ひゅうが」の存在を中国としては神経を尖らせて注視しているという。
太平洋への海軍の覇権拡張を狙っている彼らにしたら、原子力空母「ジョージワシントン」と共に、軍事力の格差こそあれ、気になる存在には違いあるい。大げさに「戦争と平和」と騒ぎ立てる心算はないが、それぞれがごく当たり前のように存在しているのが、横須賀の、そしてまた日本の現実だ。


            岸壁に繋がれたるにヘリ空母は

            圧しかかかるかな薔薇観るわれに

            
            公園のベンチに書を読む青年の

            目に入らぬらし薔薇も空母も


            在るがまま あるが侭なれ物事は

            立場を超えれば如何にや視るらむ