「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「ヴェルニー公園のバラ苑」 その四

2010-07-02 15:27:25 | 和歌
 
 「ニコロ・パガニーニ」に捧げられた深紅の薔薇が、「ヴェルニー公園のバラ苑」のなかでもかなり広い芝生を縁取って、植えられていた。



 「ニコロ・パガニーニ」はご存知、イタリア生れの天才ヴァイオリン奏者で、数多くの作曲も残している。虚庵居士は熱狂的な音楽ファンではないが、人間業とも思えぬ超絶技巧の演奏に、素人ながら何遍となく聞き入っては、愕きの世界を彷徨った若い頃のことが想いだされる。

 何時の事であったか、彼のエピソードを読んだことが想いだされた。天使肌の彼は、演奏中に独自の
演奏技法をしばしば編み出し、即興の曲想を得ると何時ものように譜面化して、大切に保管したという。譜面の出版を勧めてもガンとして応じなかったのは、彼独自の演奏を大切にしたがためか、或いは更なる推敲を加えたかったためだったか? 

パガニーニに捧げられた薔薇の存在をしり、彼の演奏を耳に聴きながらカメラに収めたが、ばかちょん
カメラで写したピンボケの薔薇の花では、パガニーニの曲を台無しにしそうな想いに駆られ、敢えて遠景写真にとどめた。朝露のキラメク薔薇、風に揺れて雫がはらりと落ちる瞬間など、パガニーニの演奏や曲に反応する写真が撮れればよいのだが・・・。


            世紀半歳月隔ててバラの名に
            
            その名を残すは ニコロ・パガニーニ


            紅の薔薇写さんと構えれば

            耳鳴りならずパガニーニきく


            編みだした業と調べの尊くば

            秘かに譜面をかき抱くとは















    左右共に ピエール・ド・ロンサール

 蔓バラではあるが、かなりシッカリした蔓を幹にして、ピンクの花びらがズシリと重量感を漂わせて
咲いていた。



            まだ固く閉じたる莟は咲きそめて 

            くれない仄かに色づくバラはも


            うす色のばらの花びら七重八重

            重なる奥に滾る色見ゆ