「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「庭石菖・にわせきしょう」

2010-07-12 00:06:45 | 和歌
 
 散歩の途次、「庭石菖」が可憐に咲いていた。

 このブログに草稿を書きこんだまま、聊か日時を経たので、花は夙に小さな種を結んでいるに違いあるまい。或いは小鳥たちの格好な餌になって、彼らの胃袋に収まったかもしれないが・・・。

 草丈は高々10センチ程度で、花の大きさは1円玉の半分程だ。
野にでて遊ぶ子供たちは、何のためらいもなく踏みつけてキャッキャと飛び回るが、そんなのは「当たり前」といった風情で、平然と咲き続けている。

 気が付いてみれば、花の色は白・ピンク・紫などと変化に富んでいるが、それぞれ花の名前まで区別しているのでもないようだ。園芸種として扱えば、凝った名前をつけて商売にするのであろうが、野花としては立派な名前の「庭石菖」で十分だと、世の皆さんは暗黙の了解をしているのであろう。

 野花にしては整った小花ゆえ、ちょっと調べてみたら、明治時代に観賞用として北米から輸入したもの
らしい。 生来の逞しさから野生化したのであろうが、自然の中に置かれてこそ本来の美しさがあって、
踏まれても踏まれても咲き続ける彼女らに、拍手喝さいを送りたいものだ。






            子供らの野を駆け遊ぶ足元に

            群れて咲くかな庭石菖は


            子供らに庭石菖は踏まれるも

            笑み咲く声は「当たり前なの」


            夕暮れの風に吹かれて小刻みに

            揺れて子供へ「さよなら」云うらし