「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「紫蘭 ・ しらん」

2009-04-27 22:09:48 | 和歌
 
 テラスの前の花壇に、「紫蘭」が咲いた。

 元々ここには芍薬が植わっていたが、花好きな虚庵夫人は「とりあえず」と言いつつ、あれもこれもと仮植えしたものが次第に繁殖した。今では色々の草花が入り混じって、それぞれが花時を違えて咲くので、「うつろ庵」のテラスは格好のブランチの場所を提供してくれる。早春の水仙から始まり、ムスカリ、ヒマラヤ雪の下、ブルーベリーなどが続き、今やこうして「紫蘭」のお出ましと相成った。

 花壇の家主だった芍薬は、文字通り次第に小さくなって、紫蘭の葉陰にかろうじて存在が認められる程度だ。テラス前のほんの小さな花壇だが、ここには花達の織りなす折々の物語と、かなり厳しいサバイバルも見られる小宇宙だ。





             たおやかに花茎ゆれる紫蘭かな

             テラスにいでて妹と語れば


             旺盛な生き抜く力を君みせて

             狭き花壇を紫蘭は占めにし








             斯くばかり華やぐかんばせ伏せるとは

             紫蘭のはじらひはかりかねつも


             なにゆえに俯き咲くかな手弱女の

             紫蘭のこころを如何に汲まばや