「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「陽だまりの残菊」

2008-02-09 23:35:45 | 和歌
 
 金木犀の足もとの置いた小鉢の残菊が、陽だまりに微かに揺れていた。

 ご近所の菊作りのご老人が、鉢に植えた小菊を携えて来られて、一時の立ち話を楽しんで帰られた。思い出せばあれから、かれこれ十余年も経たであろうか。 あの時頂戴した小鉢の菊が、 「うつろ庵」の庭木の根元でひっそりと咲いていた。






              今は亡き爺の形見の小菊かな

           庵の庭に生きながらえて


           木漏れ日を求める姿か小鉢より

           身を乗り出だすも気品を湛えて


           年を経て吾が身は爺の齢かな

           与えるものの無きぞ哀しも