以前にも紹介したが、「うつろ庵」の庭には「金の生る木(花月)」がいつの間にか増えた。
「木」とは名ばかりで、葉も幹もたっぷりと水分を含んだ多肉植物だ。 気が付けばもこもこと 枝葉を広げて邪魔になるので、時には乱暴ではあるがかなり太い幹から、エイヤッと素手で折取って始末する。
折取った幹の断面は瑞々しい薄緑色をしているが、やがて乾燥して白色化する。そのままうち忘れて暫く経つと、何と切り口の端から、可憐な新芽が生えて逞しく成長する。南アフリカ原産だと云うが、身に蓄えた水分と類いまれな再生能力により、寒冷な土地でも逞しく生き続けているのであろう。昨今のか弱い男どもにも、見習わせたいものだ。
いかならむ物語秘めてみんなみの
アフリカよりや 嫁ぎ来つらむ
こぞの秋矯めにし傷をはや癒し
あわれ花月は芽吹く今日かな
陽に透ける稚けき手かなみどり児の
葉先をうすく紅に染めて
みんなみのあふりかをいでてひのいずる
くににいのちをながらふきみかな
言の葉を持てば聴かなむ立つ春に
芽吹きの想いの積もるかずかず