川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

こんな時だからこそ疫学の勉強を

2009-04-27 21:58:24 | 喫煙問題、疫学など……ざっくり医療分野
豚インフルがどんな展開をたどるかにかかわらず、感染症の現場では、感染症疫学が非常に大事になる。
現場だけではなくて、「ちょっと近づいてきたら」(まさに今みたいな状態)、情報を咀嚼するのにも、知識があるかどうかで大違い。
本当はメディアの方に知ってほしいのだけれど(記者さんやディレクターさんが、疫学的な情報に無頓着だと、実際に入手可能な情報の中で、ちゃんと言っておくべきことを落としたりする)、どんな立場の人であれ、知っておいて損はない。

手前味噌に、まず自著を推す。
エピデミックエピデミック
価格:¥ 1,995(税込)
発売日:2007-12

これは、1年とちょっと前に出した本で、最初はインフルエンザを疑われる新興感染症を描いた作品。
今の豚インフルよりも1桁ちいさな死亡者「しか」出さない「地味」な話ながら、臨床現場よりも、フィールド疫学者視点をだいたい貫いているのが特徴。

最初からH1N1豚インフルとかなり特定できている(特定できているのですよね?)、今回のケースとは違うが、間違いなくメキシコの現場にも、「足でかせぐ」フィールド疫学者がいる。今この瞬間も、寝食を惜しんで、制圧に奮闘しているはず。

さらに……
市民のための疫学入門―医学ニュースから環境裁判まで市民のための疫学入門―医学ニュースから環境裁判まで
価格:¥ 2,520(税込)
発売日:2003-10

感染症疫学専門の本ではないけれど、疫学一般について、今でも最良の入門書。
Time place person 時間・場所・人に着目して、感染源に迫る方法が概観できる。より正確には、感染源に迫るというよりも、感染をストップさせるための方策(ウイルスを発見してワクチンを開発する、というのが必ずしもメインではない)のイメージはつかめる。

感染症疫学―感染性の計測・数学モデル・流行の構造感染症疫学―感染性の計測・数学モデル・流行の構造
価格:¥ 3,675(税込)
発売日:2006-12

ちょっと専門的なところまで踏み込みたい人に。
アメリカの大学の演習などでも使われているらしい。
実例をふんだんに盛り込んで、演習気分で進められる。高校でちゃんと数学を勉強していれば、いや、それ以前のレベルでも、ついていけると思う。

いずれにしても、SARSの時には、疫学知識というものが、一般市民のみならず、メディア側にもなかった。
そろそろなんとかしたいところ。



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3 コメント

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http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/a0484be9ea34... (sionoiri)
2009-04-28 05:41:27
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/6a43444ee4aad37d7072f6900d69c41c
一番死んでいるのはレジデントクラスの医療スタッフのようで、「XSARS」しかり。
[XSARS]と同じように二次三次と広がるごとに毒性を減じてくれますように。
返信する
あの、カテゴリータイトルは (みゅう)
2009-05-13 11:14:03
きうらきら
で良いのですか…?
返信する
修正しました。 (カワバタヒロト)
2009-05-13 12:31:50
ありがとございます。
返信する

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