本日、息子とした会話より、なんだかややこしい「シーベルト」という単位の使われ方について、距離と速度の関係を考えると分かりやすいかもしれない、と思い書き留めておきます。
まず前提として、ニュースなどで時たま(いやしょっちゅう?)耳にすること。キャスターや解説員が、舌足らずのことが多いのですね。
たとえば──
******
福島第一原発の3号炉付近で、400ミリシーベルトの放射線が観測されました。400ミリシーベルトは、人体に急性障害が起きるレベルの放射線量です。
******
さて間違いはどこ?
中1の息子に聞いても、当然、見破ることはできません。なぜなら、彼はシーベルトという単位についてまだ何も知らないから。
では、さらに質問、
シーベルトという単位は、もしも、距離、速度といったものと比べるとどちらに似ている?
それでも、息子は分からないですね。これまた当然、シーベルトという単位について知らないから。
とりあえず、2つ目の質問について先に答えると、シーベルトは距離、速度の関係の中でいうと「距離に似ている」が正解です。
なぜなら、シーベルトというのは、生体への被曝の大きさの総量を指す単位だから。
時間当たりではなく、「総量」って意味です。
速度の単位は、時速ならkm/h (1時間あたり何キロメートル)とか、秒速ならm/s(1秒あたり何メートル)とか時間当たりを示す/hや/sがつくけれど、距離(kmやm)と「生体への被曝の大きさ」(sv)は、時間で割られたりしない量なわけです。
具体的な例を挙げれば……
高速道路を、ある時には時速100キロで、ある時には渋滞にはまって時速10キロで走りつつ、最終的に何キロ走ったかという「総和」が距離。「生体への被曝の大きさ」をあらわすシーベルトもそれと似た「総和」の単位なわけですね。
とすると最初に問うた「どこがおかしい?」という問いの回答も分かるはず。
******
福島第一原発の3号炉付近で、400ミリシーベルトの放射線が観測されました。400ミリシーベルトは、人体に急性障害が起きるレベルの放射線量です。
******
の中の誤りとは……
正門前で観測された放射線量は「400ミリシーベルト」とはいいつつ、本当は速度に相当する時間当たりの数値だということです。明言されていないので、それが「時速」なのか「秒速」なのかも、分かりませんね。
結局、「毎時」で語るのが標準のようなので(時速に相当)、そう理解するのが自然なようです。
そして、二度目の400ミリシーベルト(人体に急性障害をもたらす)への言及はあきらかに「生体への被曝の大きさ」の「総量」(距離に相当)を示しています。毎時400ミリシーベルトなら、1時間そこにいて到達する「総量」であり、毎秒だったら……1秒で一気にいきますので、すぐに急性障害ってことになるでしょう。
きのうきょうあたりから、このあたりに自覚的な書き手や話し手が多くなってきて、「毎時」とか「1時間あたり」などと、ちゃんと言ったり書いたりされることが多くなりました。
これはよいこと。
でも、両方とも同じシーベルトという言葉が使われるので、なんだか一瞬でもその場所にいるとまたたく間に急性障害になりそうな気がしてきません?
たとえばさっき例文を、ちゃんと正しく修正してみます。
******
福島第一原発の3号炉付近で、1時間あたり400ミリシーベルトの放射線が観測されました。400ミリシーベルトは、人体に急性障害が起きるレベルの放射線量です。
******
正しく言っているのに、シーベルトの単位を意味を知らない人が聞いたら、やっぱりすぐに急性障害になると思っても不思議ないと感じます。
実になやましい。
結局、情報の受け手側が勉強しなきゃならない部分も結構ある、ってことなんでしょう。
そこで、息子との会話の中で有効だと感じたのは、距離・速度との比較かなあ、というわけ。
高速道路を走っている車をイメージして、
******
目指すところは400キロ先にあるヨンヒャクミリシーベルト・ポイント。
ある時には、スピード違反して時速140キロで飛ばし、ある時にはオービスを警戒して時速100キロ未満で、またある時には渋滞で時速10キロに……と速度は変わるけれど、結果的に400キロを走り終えたら、ヨンヒャクミリシーベルト・ポイント到達。
*******
てなかんじ。
当然ですが、もしも、時速400キロでずっと走り通せる車があるならば、1時間で走破ってことになるわけですよね。
なんかぐるぐるとした変な論理構成の文章となりましたが、そういうことを、息子と一緒に話していた午後でした。
Make sense?
追記
書いていて分からなくなったのは、毎時400ミリシーベルトなどと述べる時、単位面積あたりで受ける量なんだろうか、それとも標準的な体格の人間を想定して言っているのだろうか……やっぱり、素人です、わたくし。
追記2
調べました。正解は、1キログラムあたり(質量当たり)のようです。
もともとSvを弾き出す元になるグレイ(Gy)は、1キログラムあたりのエネルギー(ジュール)吸収、という定義なのですね。
つまり、質量あたり、というのが単位の中に隠されている、と。
まず前提として、ニュースなどで時たま(いやしょっちゅう?)耳にすること。キャスターや解説員が、舌足らずのことが多いのですね。
たとえば──
******
福島第一原発の3号炉付近で、400ミリシーベルトの放射線が観測されました。400ミリシーベルトは、人体に急性障害が起きるレベルの放射線量です。
******
さて間違いはどこ?
中1の息子に聞いても、当然、見破ることはできません。なぜなら、彼はシーベルトという単位についてまだ何も知らないから。
では、さらに質問、
シーベルトという単位は、もしも、距離、速度といったものと比べるとどちらに似ている?
それでも、息子は分からないですね。これまた当然、シーベルトという単位について知らないから。
とりあえず、2つ目の質問について先に答えると、シーベルトは距離、速度の関係の中でいうと「距離に似ている」が正解です。
なぜなら、シーベルトというのは、生体への被曝の大きさの総量を指す単位だから。
時間当たりではなく、「総量」って意味です。
速度の単位は、時速ならkm/h (1時間あたり何キロメートル)とか、秒速ならm/s(1秒あたり何メートル)とか時間当たりを示す/hや/sがつくけれど、距離(kmやm)と「生体への被曝の大きさ」(sv)は、時間で割られたりしない量なわけです。
具体的な例を挙げれば……
高速道路を、ある時には時速100キロで、ある時には渋滞にはまって時速10キロで走りつつ、最終的に何キロ走ったかという「総和」が距離。「生体への被曝の大きさ」をあらわすシーベルトもそれと似た「総和」の単位なわけですね。
とすると最初に問うた「どこがおかしい?」という問いの回答も分かるはず。
******
福島第一原発の3号炉付近で、400ミリシーベルトの放射線が観測されました。400ミリシーベルトは、人体に急性障害が起きるレベルの放射線量です。
******
の中の誤りとは……
正門前で観測された放射線量は「400ミリシーベルト」とはいいつつ、本当は速度に相当する時間当たりの数値だということです。明言されていないので、それが「時速」なのか「秒速」なのかも、分かりませんね。
結局、「毎時」で語るのが標準のようなので(時速に相当)、そう理解するのが自然なようです。
そして、二度目の400ミリシーベルト(人体に急性障害をもたらす)への言及はあきらかに「生体への被曝の大きさ」の「総量」(距離に相当)を示しています。毎時400ミリシーベルトなら、1時間そこにいて到達する「総量」であり、毎秒だったら……1秒で一気にいきますので、すぐに急性障害ってことになるでしょう。
きのうきょうあたりから、このあたりに自覚的な書き手や話し手が多くなってきて、「毎時」とか「1時間あたり」などと、ちゃんと言ったり書いたりされることが多くなりました。
これはよいこと。
でも、両方とも同じシーベルトという言葉が使われるので、なんだか一瞬でもその場所にいるとまたたく間に急性障害になりそうな気がしてきません?
たとえばさっき例文を、ちゃんと正しく修正してみます。
******
福島第一原発の3号炉付近で、1時間あたり400ミリシーベルトの放射線が観測されました。400ミリシーベルトは、人体に急性障害が起きるレベルの放射線量です。
******
正しく言っているのに、シーベルトの単位を意味を知らない人が聞いたら、やっぱりすぐに急性障害になると思っても不思議ないと感じます。
実になやましい。
結局、情報の受け手側が勉強しなきゃならない部分も結構ある、ってことなんでしょう。
そこで、息子との会話の中で有効だと感じたのは、距離・速度との比較かなあ、というわけ。
高速道路を走っている車をイメージして、
******
目指すところは400キロ先にあるヨンヒャクミリシーベルト・ポイント。
ある時には、スピード違反して時速140キロで飛ばし、ある時にはオービスを警戒して時速100キロ未満で、またある時には渋滞で時速10キロに……と速度は変わるけれど、結果的に400キロを走り終えたら、ヨンヒャクミリシーベルト・ポイント到達。
*******
てなかんじ。
当然ですが、もしも、時速400キロでずっと走り通せる車があるならば、1時間で走破ってことになるわけですよね。
なんかぐるぐるとした変な論理構成の文章となりましたが、そういうことを、息子と一緒に話していた午後でした。
Make sense?
追記
書いていて分からなくなったのは、毎時400ミリシーベルトなどと述べる時、単位面積あたりで受ける量なんだろうか、それとも標準的な体格の人間を想定して言っているのだろうか……やっぱり、素人です、わたくし。
追記2
調べました。正解は、1キログラムあたり(質量当たり)のようです。
もともとSvを弾き出す元になるグレイ(Gy)は、1キログラムあたりのエネルギー(ジュール)吸収、という定義なのですね。
つまり、質量あたり、というのが単位の中に隠されている、と。
ありがとうございます。
タイトル、最初に目に入った「距離と速度の関係」に引きずられて(?)「シートベルト」と読んでしまいました。
いまだにシートベルト着用率の低い地域です。
よく分からないからむやみに怖くなっている人が多いようで、ストレスの方が身体に悪いんじゃないかなーと思います。なんだかTVの解説もややこしいし。
わかりやすいです。