川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

椎名林檎からゲルニカへ

2007-04-05 21:15:44 | ソングライン、ぼくらの音楽のこと
改造への躍動(紙ジャケット仕様)改造への躍動(紙ジャケット仕様)
価格:¥ 2,310(税込)
発売日:2006-02-22
椎名林檎の「平成風俗」を聴いていたら、むしょうに思い出されるのがゲルニカ。そんなに似てるってわけじゃないのだが。創られ、歌われた時と、歌われているものへのベクトルが似ているのかも。
しかし、「改造への躍動」が復刻され、戸川純の「玉姫様」も簡単に手に入る……なんて素敵な世の中。


あした、入学式

2007-04-05 21:11:13 | 保育園、小学校、育児やら教育やら
桜はほとんど散りかけているけれど、入学式。
ひさびさにネクタイをしめようと思ったら、プレインノットやダブルノットはおぼえているものの、ウインザーやセミウインザーを結べなくなっている。もともと得意じゃなかったからなあ……。ディンプルを作るのも下手くそ。フレッシャーな気分。
なにしろ、十年ぶり。
息子の時にはただのジャケットだったので。
娘ははりきり中。
ほんと、上の子もそうだったけれど、ぼくなんかよりも、ずっと学校が好きになりそうな気配がしている。
学校に行きたいと思って通ってくれる子になってくれると、ストレスも少ないし、うれしいのだが……。
よきスクールライフを!
とむすめのことながはら、祈ったりもする。


タミフルまとめ……しかしまとまりきらず

2007-04-05 07:42:54 | 喫煙問題、疫学など……ざっくり医療分野
リヴァイアさん、日々のわざ: 不都合なタバコの真実@週刊東洋経済(読了して追記)
リヴァイアさん、日々のわざ: タミフル対策、あなたの考えは
先週から今週にかけて、この2つのエントリで、延々とタミフルをめぐる議論がなされていて、その間、ぼく自身、B型インフルエンザにやられて(本当にひさしぶりの病気。ここ二年は風邪すらひいていなかった)いるさなか、ずーっと議論は継続していたわけです。
今さらながら、原稿用紙換算160枚以上の分量のコメントを拝読。
「あとから来る人」のために、読みやすくなるようなエントリを残しておこうかな、という気になりました。

まず議論のコアになっているのは、疫学者の津田さんと、きくちさんの往復書簡(?)部分。
津田さんと、きくちさんは、合意できている部分も多くて、それは「タミフルは異常行動との因果関係が示唆されている」(程度はともかく)といったことや、その一方でパンデミック対策としては重要なので、浜六郎氏の認可取り消し要求などは「やりすぎ」であるとか、大枠ではぶつかりあう部分はなく、それは、またぼくも含めて、多くのコメンテイターも同意しているよう。(追記。この点については、津田さん自身のコメントが下にあり。一読を。浜氏の意見のある部分については、むしろ、まだ弱いとおもう部分もあるとのこと。浜氏が血液製剤による薬害エイズについて述べた1980年代に、あそこまで述べたことの方がずっと「やりすぎ」だったかも、ですとか。)


その上で、何が中心的な課題になったかというと、ある特定の不完全な研究から(って、この場合は横田研究から)、どれだけ何を語らせるのか、という問題。
津田さんは、誤分類やら、バイアスやらの補正をするのに抵抗がない。これは疫学をやっているのだから当然のこと。
その一方で、物理学をバックグラウンドにもつきくちさんは、こういった操作をデータのいじりすぎに感じられるとの発言があって興味深かった。
これを両氏のそれぞれの学問分野の文化の問題なのか……タミフルと横田研究を素材にしながら、そのあたりのことが、垣間見えたのかも。
自然科学の人や、医療の方や、ひょっとすると科学史家の方なんぞが読んでいただくと楽しいかもしれません。

ぼくは疫学のこういうやり方というのは、魑魅魍魎の跋扈する「実験室外」において、あるいは社会的生き物としての人間集団を対象にしつつ、できるだけ科学的であろうとする「一般科学」の営みであると考えているのだけれど(社会科学で使う統計とは違う、と思っている)いかがなものか。
どういう研究デザインではどういう誤分類やバイアスがはいりやすいとか、データの取り扱いになれな人がこうするとああなるとか、人間の「間違いやすさ」の中で系統だっている部分について研究が為されてきた。疫学が実験室の外を主たる活動の場としてきたからなのだけれど、通常の自然科学ではそんな努力をする必要はなく、むしろ、そうしなければならないことにうさんくささを感じてしまうのかも。

いずれにせよ、横田研究は、深読みしなくても、それ自体、「不完全な研究とはいえ、因果関係を示唆しているようなので、とりあえず、因果関係アリと仮定したうえで諸々の対策をとり、さらなる研究を」というのがいいのかなあ(あ、これは川端の意見)。
横田研究の中に出ている表の中で、ちゃんとそれだけで有意になっているのは「うわごと」の1.43というやつだけのはずなのだけれど、ほかにもかなり数字の高いものもあるわけだし、

と、つらつら書いていていて、とうてい「まとめ」なんて不可能だと気づいた。
というわけで、以後、コメントを読んでいていおもしろかったこと、メモしておきいたいこと。

まず、

●津田さんに取材したらいかがですか、記者さんたち! ある意味、極論を展開するようになってしまった浜六郎さんよりずっと現実的なところでの議論を期待できると思うのですが。

って、ここで小さく書いても仕方がないか。

●製薬会社で研究をささているというtygrysojciecさんのコメントに「制度上の副作用は因果関係:有+因果関係:不明ですので、説明書き(添付文書)に記載されていても、因果関係不明のケースもあります」とのこと。なるほど、いちいちお金をかけて副作用の因果関係を追究するメリットは製薬会社にはないもの。勉強になりました。

●インフルエンザ脳症の症例対照研究、やはり必要でしょう。ライ症候群とアスピリンの関係も症例対照研究で示された(教科書的な「成功した」研究)。解熱剤、タミフル、予防接種といったことと、脳症がどう関係するか。ちなみに、ぼくはこの件についてこれまでに二回、国立感染症研究所の人に言ったことがあるのだけれど、ピンときてませんでしたね。

●もちろん、タミフルと異常行動の研究も。症例対象研究、後ろ向きコホート。

●Pearlによる、必要確率と十分確率という考え方。

●発症時期を早める高価(触媒効果)は、「原因」といえるのか。喫煙と発ガンの場合は、「イエス」といえる。しかし、インフルエンザにかかっている時のタミフルと異常行動のように、発症までの期間が短いものの場合は……?

●4倍ものオッズ比をたたき出すような相関を、交絡で説明できることは滅多にない。のだそうです。

●製薬会社から研究費をもらっていた研究者を外すのはまずい、こと。システム上「もっとも詳しい人をはずす」ことになってしまう。大学の臨床教授で、製薬会社から研究費をもらっていない人など、事実上いない、とのこと。過熱したタミフル報道のために、またも研究が変なことになってしまってはたまらない。

いやー、なんだか、議論を矮小化し、やけにトリビアなことばっかりピックアップしている気分になってきたので、この程度で……。

結局、「あとから来た人」のためというよりも、自分用のメモになっちゃいました。