川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

岐阜県の教育委員会などにも意見を送っておく

2007-01-22 07:16:45 | トンデモな人やコト
メルマガ@かかみはら 第9号
すでに行われた岐阜県での森氏の講演について、情報をいただいたので、一応、意見というか、情報提供のメールを、この高校と教育委員会にお送りしておく。
このメルマガの当該記事を書いた方も、鵜呑みにはしていない雰囲気がありありと伝わってくるのだけれど、それをもう一押し。
以下、引用文。かわりばえしませんが、またコピペします。「いわれない若者叩きに使われる」ことの不当性についても言及しました。
 はじめまてして。
 小説家の川端裕人と申します。
 たまたま知人から、貴教育研究会にて森昭雄氏の講演行われたと知りました。
「ニセ科学」の蔓延やその教育現場への影響を憂慮する者として、注意を喚起させていただきます。
 
 森氏のゲーム脳についての議論は、今や「ニセ科学」の代表格と目せられています。
 
 今、書店に並んでいる「論座」のニセ科学特集では、山形浩生氏がこのような論文を書いておられます。インターネットで閲覧できます。
 http://opendoors.asahi.com/ronza/story/index.shtml
 また、引きこもり研究の第一人者である精神科医、斎藤環氏は古くからこのような批判をされています。
 http://www.tv-game.com/column/clbr05/
 
 ニセ科学にくわしい「と学会」の山本弘氏の批判もあります。ちなみに、「ゲーム脳の恐怖」はその後、2002年の「トンデモ本」の次点に選ばれました。
 http://www.tv-game.com/column/clbr02/
 
 ゲーム脳についてさらに突っ込んだ評価をお望みなら、ウィキペディア(インターネット上の百科事典)が、よい「入口」になります。
 http://ja.wikipedia.org/wiki/ゲーム脳
 
 もちろん、ゲームが脳の発達に影響を与える可能性はゼロてはないかもしれせんし、研究はすすめるべきでしょうが、すくなくとも、森氏がこだわったアルファ波とベータ波の比率などは、多くの科学者にとって、首を傾げざるを得ないもののようです。ましてや、そのことと子どもが「キレ」ることを結びつけるのは、非常に短絡的で、なんら立証されたものではありません。森氏の論文でも、これについてはまったくの印象論でしから語られていません。
 多くの研究者、識者が、森氏の「ゲーム脳」理論を、ニセ科学、擬似科学だと感じています。
 
 今回、このようなメールをお送りするのは、教育の現場を担う方々が、ニセ科学を支持し、旗を振るようなことはするべきではないと考えるからです。
 森氏が、主張するように「ゲームばかりしていてはいけない」のは当然のこと。それは、テレビばかりみていても、本ばかり読んでいてもいけないのと同じことであって、むしろ躾の問題です。その根拠をニセ科学に求めるのはいかがなものでしょうか。
 
 ニセ科学は、「ただのあやまった理論」で留まるうちはともかく、それを教育の現場に持ち込んだ途端に、実害を生じることが多々あります。これについては、やはり「ニセ科学」の代表格である「水からの伝言」の問題に関わっておられる学習院大学の田崎晴明教授、大阪大学の菊池誠教授のウェブサイトが参考になります。
 http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/fs/
 http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/nisekagaku/mizuden_doutoku2.html
 
 また、ことゲーム脳理論については、いわれなき「若者叩き」に活用されてきた経緯もあり、心を痛めています。「最近の若いもんは、ゲームをして育ったから」と、根拠なく繰り返されるのは当事者としては、たまったものではないのてじょうか。
 
 なお私自身が意図せずしてかかわることになった、昨年、世田谷区での「ゲーム脳」講演(世田谷区教育委員会共催)の顛末は、私のブログにてごらんになることができます。ぜひ目を通して頂ければと考えます。
 最終的に区の担当者が、講演の聴講者に対して「ゲーム脳について、家に帰ったらネット検索してみてほしいと思う」と、ゲーム脳理論をめぐる客観的な議論を理解するように促した点に注目を願います。
 http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2006/04/post_fc55.html
 
 以上、ニセ科学の蔓延と、それが教育の現場にまで影響を及ぼしかねない現状に心を痛めている者として、情報提供させて頂きました。
 
 川端裕人

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15 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
私のまわりのひと(一般的な保護者)には ゲーム... (沙羅樹)
2007-01-22 10:52:31
多分ホントなんだろう・・・と受け止められています。
”ゲーム脳”が世に出たとき 大きなインパクトを持ってマスコミに取り上げられました。
しかし ニセ科学だ ということは一般人の目に触れるほどは報道されていません。
ネットに親しんでいるひと 科学系に興味を持つひとは わりと知っていますが・・・

生協のカタログ(書籍チラシ)に ”元気な脳のつくりかた”が掲載されていました。
PTA推薦図書だから・・・だろうなぁ・・・
生協からのオススメ! みたいに受け止められて
信じ込む人が多くないかなぁ・・
所属生協の掲示板に 書き込みした方がいいかなぁ・・・

迷っております。
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うーむ。 (カワバタヒロト)
2007-01-23 09:08:03
それは、困難な問題です。
もしも、書き込んで失うものがあるなら(人間関係とか?)、要注意。
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彼らの意見は、問題喚起や提議として、面白いなぁ... (toshi)
2007-01-23 09:17:06
彼らの意見は、問題喚起や提議として、面白いなぁ、とは思います。様々な観点からの意見や提起は必要だと。ただし、川端さんのおっしゃる通り、これがゆるぎない事実として語られる事で、真実であるかの様に認識させられてしまう事は非常に恐ろしく、また迷惑な事です。これって、一種の洗脳プロセスではないでしょうか? 語る方にも問題ありですが、受け取る側ももっと情報に対して、シビアにならないと、ですね・・・
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ちわっす。 (カワバタヒロト)
2007-01-23 11:29:34
Toshiさんがおっしゃると、「彼らの問題喚起」とは、具体的にどういう部分ですか?
ゲーム脳理論って、いつくかの要素を無批判につなぎ合わせた構造をしていて、そのどの部分を言ってらっしゃるのか、と。
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うーん、具体的にというよりも、子育てや教育関係... (toshi)
2007-01-23 17:10:45
うーん、具体的にというよりも、子育てや教育関係者が何となく抱いている’気になるところ’(子供達を取り巻く現状はこれでいいのか!?的に思っているところ)、つまり何だか良く分かんないけど、不安に思っている部分を、そう、川端さんのおっしゃる通りです、無理に関連付けた要素を、上手に話としてまとめ、煽っている感じにしか思えないんです。 だから、自分も、何となく’え?え?なんじゃそりゃ?’と思いつつ、ついつい引っ張られそうになってしまうんですよね。 具体性。的確性に欠けていても、扇動されてしまうというか。 実は私、元公立保育園で保育士をしていて、今も帰国した際の何ヶ月間か、やっぱり公立園で働いているんです。山に籠もっていて、勉強不足、情報不足を重々自覚しているだけに、そういう気持ちの隙に入りこんでしまうというか・・・何だか上手く表現できていませんし、答えになっていないですけど、頭でなく、感情的に、どちらかというと不安・ヒステリックな感情につけ込まれる感じですかねぇ、私の場合・・・ 全然答えになってなくてすみません。
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PS  ’問題喚起’という言葉を敢えて使ったので... (toshi)
2007-01-23 17:18:19
PS  ’問題喚起’という言葉を敢えて使ったのですが、私の場合は正しい・正しくないを問わず、様々な事柄を、様々な見方で’自分はこう思うんだけどさぁ、どう思う?’という事は、物事を考える・捉える上で必要かと。自分の考えを人々に聞いてもらい、意見や考えを交換する、という意味で使った’提起’です。ただし、これが科学である場合、データやその根拠がキチンとしていないといけないのは、いうまでもないと思います。 ’トンデモ’ではあるけれど、それを扇動的に人々にすり込み、押しつけて、真実の様に語るのは全く、好ましくはないでしょう。うーん、表現力がないなぁ。 長くてクドくて、すみません。
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今晩は。 (TAKESAN)
2007-01-24 00:42:08
私は、toshiさんの仰る「問題喚起や提議」は、具体的には、「何となく不安に思われている”ゲームの、発達における影響”に目を向けさせた事」、だと読んだのですが、どうでしょうか。

toshiさんもゲーム脳に批判的でいらっしゃるので、私が改めて書くまでも無い事なのですが、森氏は、確かな根拠も無いのに、ほぼ「言い切って」しまったのですよね。ゲームは発達に好ましくない、と。そして、それをマスメディアが肯定的に紹介し、ある程度流布されてしまいました。『ゲーム脳の恐怖』が出版されて4年も経つのに、まだ森氏の講演会が催されるのが現状です。

なので、
 toshiさん>様々な観点からの意見や
        >提起は必要
というのはその通りですが、その「やり方」が問題なのだと思います。実際、ゲーム脳は、とてもまずいやり方だった訳ですし。森氏の意図はともかく、結果的には、「不安に付け込む」結果になってしまったのでしょうね。
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ゲーム脳に限らずだと思うのだけど (masataka)
2007-01-24 12:22:22
『良い』『悪い』だけを求めてる人が多いのではないかなと。
(頭にいい、身体にいい等)
誰かエライ人(に見える肩書きお持ちの人)に言われると、疑わず、深く考えずに『そうなんだぁ~』って思ってしまう人々には調度いいネタなのではないかと。。。
偏見に満ちてすいませんが、教育関係者の方々に『ゲーム脳』批判が受け入れられる理由は、自分よりもエラい(?)人が、そう言ってるんだから間違いはないってな感じで、教育の現場に取り入れられてるのではないでしょうか??
(あるある大辞典とかでも、みのもんた氏が言ってるのだから、間違いなんてないと思い込む視聴者とよく似た感じがする・・・・)
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ゲームばっかりしてていいんだろうか、という疑問... (カワバタヒロト)
2007-01-24 14:54:20
森の新しさは、やはり、「害がある」と断言したことなんじゃないでしょうか。
もちろん、彼は自説に確信を抱き、さらなるゲーム対策について「問題提起」しているんでしょうが、この時、彼の言葉がより大きく強くひびくのは、問題提起が新しいからというより、やはり、「断言しているから」だと思います。
たぶん、「ゲーム脳理論は、問題提起としては正当」というふうなことを聴いた時に、ぼくが感じる違和感はそのあたりかなあ。
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駄文書きのtoshiです。TAKESANさん、ありがとうご... (toshi)
2007-01-25 15:13:55
 しっかりした裏付けと基礎研究で導いた上での’有力な仮説’としてならば、そういう考え方があってもいいよねという事で、視点が広がるし、研究の幅も広がるかもしれないけど、自分が絶対!になるのって・・・ 科学的な考え方って、事実だけ突き詰める事ではなくて、少しの可能性もキチンと踏まえて物事を論じていく事だと思うのですが、数字を並べて聞こえが良くて、自分の研究期間の長さが高い信頼性の裏打ちです!みたいな人(TVにも出てる某教授なんか特に)、多いですよね。 何だかぐったりしてしまいます・・・
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