草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

短音

2008-10-01 16:29:27 | 山の暮らし
 くっくっくっ・・・・

その音に一瞬立ち止まる。
うずくまる白っぽいもの。
ウサギ?かと目を凝らす。

なんと、あの犬だ。


   ::


激しい雨音に目がさめ、一旦は、「朝の散歩は中止」と思ったが、
止み間をぬって、早足で歩き始めたところだった。


近寄って話しかけるが、下を向いたまま。
くっくっくっ・・・・
縮こまって、小さく短い音を発しながら震えている。

数分が経ち、
ワタシは、歩きだした。


   ::


2日前だったか、夕方の散歩で出会った。
突然、目の前に現れたのは、白色のフレンチブルドック。
驚いているワタシとメグを尻目に、
ちょこちょこと山道をしばらくついてきたものの、
途中で後ろ向きに走って行った。
6月の初め、突然ウチに来て、魔法のように消えてしまった、黒のフレンチブルドックといい、
山で出会うにはどうも・・・・


近所のTさんに、あとで聞いた話のよると____
別荘地の奥に越してきて、犬の繁殖を仕事としている人がいるということで、
たぶん、そこから抜け出してきたらしい。

とすると、
この白もそうなのだろう。

あの時、帰って行ったと思ったのに・・・・
2日間も、このあたりを歩きまわっていたのかしら?
そして、
朝方のこの雨に濡れて・・・・

「あのままじゃ、死んじゃう。」


   ::


昼前から、日が射してきた。
元気になって、帰っていったかしら?
様子を見に行きたいような行きたくないような・・・・

   



    一羽の鳥が
    いなくなっても
    山は
    姿を消して
    さがす

    山が姿を消すと
    空が 次第に遠のいていく
        (誰かが 私のせいだと思う
         だが それは私ではない)

    「私は 遠くから
    眺めるだけだ
    次第に
    近寄っていくだけだ」

    山は 深い谷間までおりてさがす
    一羽の鳥を見出さない
    そして
    山はだまってしまう

     (誰かが 私のせいだと思う
      だがそれは 私ではない)

    「私は いつもその場所にはいなくて
    失った言葉のために
    遠くから 空を求めているのだ」
        ___中江俊夫『雲』___





なぜ、ワタシは手ぶらで歩きだしたのだろう。

あの雲のせい?
山を消してしまいそうな朝の雲がはれて、
風が吹き始め、
森のほうからザワザワ。
一日中、木々の擦れる音。
ワタシのこころも
一日中、ざわざわ。。