これは、決して霧ではありませぬ。
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青く澄んだ高い空の秋の日の午前9時。
バッハの無伴奏チェロ組曲を聴きながら床を掃いていた。
ガァガァ・・・竿に掛けられ天日干されていた稲が、手際よく機械の中に。
次々にモミの袋の出来上がり。
まるで魔法のよう。
優しい暖かさの秋の日の午後1時。
ショパンのノクターンを聴きながら夏目漱石を読んでいた。
ムムッ!?突然息苦しくなる。
さわやかな風に乗った煙が、一気に我が家に襲いかかる。
その朦々たるや、しっかり閉じてあるはずのペアサッシもなんのその。
風が冷たくなり始めた秋の日の午後4時。
田圃の畦道に座って、西の太陽を仰いでお茶の時間。
その後ろに残るは、モクモクと燻ぶる煙と、真っ直ぐに引かれた幾つもの黒い筋。
ワタシの前の懐かしさの光景。
何事もなかったかのようなのどかな風景。
秋の風物詩。
いやぁ、新参者は、すっかりイヤされました。
いえ、イブされました。
洗濯物と干した布団も一緒に、
秋晴れのよき日に・・・・
ああ、もう、こうなったら、
ともかく、佐藤眞の「土の歌」を聴くしかないでしょう。
何も言えないワタシは、
洗濯物や布団の取り込み、夕方の散歩は後回しにして、
いつまでものろしのようにたなびく煙を見ながら、
ウウッむせながら・・・・
耕して 種子を撒く土
人みないのちの糧を
創り出す土
耕して種子を撒く者
農夫らの楽しみの種子
悲しみの種子
ともかくも種子がいのちだ
朝 星をみて 野良に出る
働いて 額に汗して
夕星を見て帰るのだ
種子をはぐくむ土こそは
種子をまく者の夢だ 望みだ
そして祈りだ
花さき みのる 毎年の
約束の不思議さよ
___大木惇夫「農夫と土」___
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青く澄んだ高い空の秋の日の午前9時。
バッハの無伴奏チェロ組曲を聴きながら床を掃いていた。
ガァガァ・・・竿に掛けられ天日干されていた稲が、手際よく機械の中に。
次々にモミの袋の出来上がり。
まるで魔法のよう。
優しい暖かさの秋の日の午後1時。
ショパンのノクターンを聴きながら夏目漱石を読んでいた。
ムムッ!?突然息苦しくなる。
さわやかな風に乗った煙が、一気に我が家に襲いかかる。
その朦々たるや、しっかり閉じてあるはずのペアサッシもなんのその。
風が冷たくなり始めた秋の日の午後4時。
田圃の畦道に座って、西の太陽を仰いでお茶の時間。
その後ろに残るは、モクモクと燻ぶる煙と、真っ直ぐに引かれた幾つもの黒い筋。
ワタシの前の懐かしさの光景。
何事もなかったかのようなのどかな風景。
秋の風物詩。
いやぁ、新参者は、すっかりイヤされました。
いえ、イブされました。
洗濯物と干した布団も一緒に、
秋晴れのよき日に・・・・
ああ、もう、こうなったら、
ともかく、佐藤眞の「土の歌」を聴くしかないでしょう。
何も言えないワタシは、
洗濯物や布団の取り込み、夕方の散歩は後回しにして、
いつまでものろしのようにたなびく煙を見ながら、
ウウッむせながら・・・・
耕して 種子を撒く土
人みないのちの糧を
創り出す土
耕して種子を撒く者
農夫らの楽しみの種子
悲しみの種子
ともかくも種子がいのちだ
朝 星をみて 野良に出る
働いて 額に汗して
夕星を見て帰るのだ
種子をはぐくむ土こそは
種子をまく者の夢だ 望みだ
そして祈りだ
花さき みのる 毎年の
約束の不思議さよ
___大木惇夫「農夫と土」___