草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

みち

2016-01-20 14:26:48 | 山の暮らし
遠い道でも大丈夫
一歩づつ
途中に花も咲いてるし、鳥も鳴くし
と、Tさんは言う。

でも・・・・
その道が
ワタシには見えないのだ。




                    ::::



暖冬だ、暖冬だといわれていたが、
このまま済むはずはないとは思っていた。
それにしても、ひどすぎる。

先日の雪で、ココは50cm以上積もった。
車は半分が埋まってしまい、
3時間かけて道に出られるだけの雪かきをした。
そして、
昨朝、恐る恐る運転し幹線道路に出てみたものの、1kmほどでギブアップ。
ガリガリ凍ってハンドルの取られる道は、ワタシの運転技術ではムリ。
泣きべそをかきながら、Kに助けを求め、Uターンしてもらいウチに引き返した。
それでも、
昼間の天気で硬くなった雪も少しずつは融け、
明日になれば良くなるだろうと思っていた。
なのに、
今朝起きたら、また、雪。
どんよりした空の色は、家の中まで入り込んでいて、
雪かきした道は消えてしまっていた。

100年に一度といわれた一昨年の大雪とまではいわないが、
ワタシがココにきてから、それに次ぐ雪の深さだ。

「高山は寒さは厳しいけれど、雪は大したことないのよ。
一シーズンに20cm位が2度ほどかな」
なあんて、聞く人ごとに豪語していたけれど。
もう言いはしない。




            ひとばんのうちに
            すべてのみちがきえてしまった!
            おおきなみちもちいさなみちも
            まっしろなゆきのしたに

            みぎもないひだりもない
            まえもなくうしろもない
            どんなみちしるべもちずもない
            どこまでもひろがるしろいせかい

            どこへでもゆけるそのまぶしさに
            こころはかえってたちすくむ

            おおぞらへつづくひとすじのあしあとを
            めをつむりゆめみながら

                ____谷川俊太郎「みち」____




                       ::::




先日、飯岡千江子さんの個展を見てきた。
「迷路」と題された作品の前で足が止まる。
真ん中に、眼球が一つ。



どこを歩けば、目的地にたどり着くのやら。
右へ行って、いや違うと引き返し、左に行っては、こんなはずではと引き返す。
それではとばかりに前に進んではみるが、困ったことにすぐにそこは行き止まり。
もう今更後ろには行けやしないのだけはわかっている。
そんな迷路をぐるぐると、もうどのくらいほっつき歩いたか。

もしかすると、
もともと、ゴールなどないのかもしれない。

と、思った途端、
道そのものが消えてしまっていた。
道はどこにあるのか。
ワタシの右なのか?左なのか?前なのか?後ろなのか?
目をつぶり、
見えない道を一生懸命頭の中で思い探す。
そして、
心はいつしか疲れ果ててしまう。





         時に、ごおっと風を誘い
         霏霏の雪は、
         すべての道を消してしまった。

        「いつまでも
         ここにたどり着くことはできないのだ」と、眼球が囁いた。

         
           
  
    


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