聴く力のない者たち
大勢の声に耳をふさぎ
戦争法案を通してしまった
70年守り続けた平和憲法、戦争放棄
それは大きく覆されてしまった
のちに知る歴史の大きな禍根
それにワタシは居合わせてしまった
この重量のある機械は
地面をどっしりと圧えつける
地面は強く踏みつけられ
反動し
濛濛とする埃をたてる。
この日中を通っている
巨重の逞しい機械をみよ
黝鉄の油ぎった
ものすごい頑固な巨体だ
地面をどっしりと圧えつける
巨きな集団の動力機械だ。
ずしり、ずしり、ばたり、ばたり
ざっく、ざっく、ざっく、ざっく。
この兇逞な機械の行くところ
どこでも風景は褪色し
黄色くなり
日は空に沈鬱して
意志は重たく圧倒される。
ずしり、ずしり、ばたり、ばたり。
お一、二、お一、二。
お この重圧する
おおきな真っ黒の集団
浪の押しかえしてくるように
重油の濁った流れの中を
熟した銃身の列が通る
無数の疲れた顔が通る。
ざっく、ざっく、ざっく、ざっく
お一、二、お一、二。
暗澹とした空の下を
重たい鋼鉄の機械が通る
無数の拡大した瞳孔が通る
それらの瞳孔は熱にひらいて
黄色い風景の恐怖のかげに
空しく力なく彷徨する。
疲労し
困憊し
幻惑する。
お一、二、お一、二。
歩調を取れえ!
お このおびただしい瞳孔
埃の低迷する道路の上に
かれらの憂鬱の日ざしをみる
ま白い幻像の市街をみる
感情の暗く幽囚された。
ずしり、ずしり、ずたり、ずたり
ざっく、ざっく、ざっく、ざっく。
いま日中を通行する
黝鉄の凄く油ぎった
巨重の逞しい機械をみよ
この兇逞な機械の踏み行くところ
どこでも風景は褪色し
空気は黄ばみ
意志は重たく圧倒される。
ずしり、ずしり、ずたり、ずたり
ずしり、どたり、ばたり、ばたり。
お一、二、お一、二。
朔太郎の聞いた軍靴の音が
朔太郎の見た疲弊した顔が
今、ワタシにも聞こえ見えはじめる
空気は黄ばみ
意志は重たく圧倒される
2015年9月19日
手放した美しきもの
こころせよ こころせよ
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