連日の猛暑を逃れて、
群馬、長野、新潟の県境に位置する標高1500mの野反湖へ。
真っ青な空と黄緑の山の間から、白い雲が湧き上がる。
青を写した湖に寄りそうは、あまたの草花。
そのどれもが、
ただ、ただ、静かにそこにあった。
山深く入ったその先にある、
光さすこの沈黙の深みに、
切なさも、悲しさも、
吸い込まれていくような気がして、
ふたり、
ずっと、そこにいた。
逝いた私の時たちが
私の心を金にした 傷つかぬやうに傷は早く復るようにと
昨日と明日との間には
ふかい紺青の溝がひかれて過ぎている
___立原道造「夏の弔ひ」___