久野康成公認会計士事務所/株式会社東京コンサルティングファーム(TCF)の 【国際化支援ブログ】

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【成長と分配の方法】

2006年11月15日 | 所長と熱く語ろう!(久野康成)
種芋を残せば、成長できる。
しかし、多くの種芋を残すためには、今年の食事を我慢しなければならない。

未来の『成長』を選ぶのか、今年の『分配』を選ぶのか・・・





 私は、農家の家に生まれ育ちました。私の兄が11代目となります。生粋の百姓の息子なのです。

 小学生の頃、母親から「種いもを決して食べてはいけない」と言われました。なぜか、この教えは、今でも鮮明に覚えています。

 なぜ、「種いも」を食べてはいけないのか?

 例えば、柿であれば、食べる実の部分と植える種の部分は異なります。つまり、実を全て食べても、来年植える種は残ります。

 しかし、いもは、食べる部分と植える部分が全く同じです。来年、より多くの「種いも」を植えるためには、今年、「食べない」という意思決定をしなくてはならないのです。

 しかし、人間は、お腹が空いてしまうと、ついつい、来年植えるために取っておいた「種いも」まで食べてしまいます。その結果、植える種がなくなってしまうのです。

 これに困った農民は、「種いも」を買わなくてはなりません。しかし、お金はないのです。庄屋から畑を担保にしてお金を借り、「種いも」を植えます。
 「種いも」まで食べてしまう農民なので、借りたお金を返す能力もないのです。その結果、畑は取り上げられ、自分の畑を持たない小作人になってしまうのです。

 今年食べるいもを我慢して、より多くの「種いも」を残した農民は、来年、沢山のいもを手に入れることができます。そして、拡大再生産をしていくことが出来るようになり、畑が広がっていくのです。

 小作人になるのか、豪農になるのか?

食べるものがないつらい時に、どれだけ我慢して来年のことを考えられるかが、明暗を分けると教えられました。小作人になるか豪農になるかでは、結果は大きく異なります。しかし、その原因は、ほんの僅かな差にすぎないのです。

 当社を立ち上げた時、もちろん十分な資金はありません。担保を持たない小さな会社が銀行に頼ることはできません。急成長するためには、高い利益率を確保し、内部留保で再投資するしかないのです。

しかし、内部留保率を高めれば、社員に対する分配率は下がります。私は、スタッフに対して、この「種いも」の話をしました。もちろん、経営者の詭弁と思う人もいたことでしょう。

しかし、十分な収益を上げ、成長すれば、分配はいつでもできるのです。食べるものにも苦しむ時、来年のことを考えて投資できる人は、多くはいません。
だから、多くの人は小作人になってしまったのです。

「種いもを食べるな」

 母は、私に、優れた農家の知恵を授けてくれました。この知恵は、農家だけでなく、経営にも十分応用できるものだったのです。



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3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ブログも種芋 (中橋)
2006-11-15 17:23:27
種芋は、まさに企業にとって成長の原資だと思います。いつもブログを通じて、いろいろ学ばせてもらっています。ファイブプロダクツの中橋です。ようやくブログを開設しましたが、ブログは私自身の種芋かもしれません。
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~世の経営者の皆様へ~ (Unknown)
2006-11-16 08:54:10
くれぐれも、皆で我慢した種いもを持ち逃げすることだけは止めてくださいね。
あなた方を信じています。
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お金を持ち逃げする人 (会長)
2006-11-17 13:03:58
世の中に、お金を持ち逃げした「従業員」は、数多くいれど、
お金を持ち逃げしたという「経営者」は聞いたことがない。



持ち逃げされるリスクは、「経営者」より、「従業員」の方が高い。

ただし、経営者が行うのは、持ち逃げではなく、放漫経営である。

放漫経営が原因で倒産させる経営者は、倒産企業の中で10%程度しかない。ほとんどの経営者は、リストラのタイミングが遅い、意思決定能力不足からくるものである。


従業員の立場としては、放漫経営するタイプかどうかは、見ていれば直ぐに分るはず。

意識決定能力の低い経営者か否かは、赤字を垂れ流し続けているかどうかで分る。





ということは、お金を持ち逃げされるというリスクを考えること自体が、杞憂であろう。


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