子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

ウイルス性胃腸炎

2006-04-16 21:59:14 | 病気
このところ、嘔吐・下痢の症状を主症状とする患者さんが多く診察にみえます。

診断は「ウイルス性胃腸炎」ですが、『感染性胃腸炎」「流行性嘔吐下痢症」「お腹の風邪」などと言われるものはみな同じ状態です。原因となる代表的なウイルスとして「ノロウイルス」「ロタウイルス」などがあげられます。

典型的な症状は、嘔気・嘔吐症状から始まり、その後下痢や発熱を認めるます。嘔吐は初期に集中して認められますが半日から1日ほどで治まってくることが多く、そのかわり下痢は数日続きます。

状態に応じて点滴による水分・ミネラル(主に塩分)や糖分の補給の適応となりますが、原因となるウイルスに有効な薬はなく、病気自体は自分自身の免疫力で自然と治るのを待たなければなりません。水分やミネラル(主に塩分)の摂取を心掛け、ゆっくり休養することが一番大切です。薬は病気自体を治すようなものはなく、吐き気や熱等つらい症状をある程度軽減する目的で使用されますが、薬が嫌いで薬を飲む事で吐いてしまうなどのことがあれば飲む必要はありません。下痢止めは小児科では胃腸炎の診断で原則的には使用しません。

ウイルスは、便中に排泄され症状が治まってからもしばらくは便中に排泄されています。人から人に感染しますが、手洗いを適切に行うことで感染予防ができます。

とにかく、様子をみながら少しづつでも適切に水分・ミネラル(主に塩分)が飲むことが可能であれば後は時間とともに状態は良くなっていきます。食事は、食欲がでてきたら食べられる範囲で吐き気を催さない程度に少しづつ開始してください。内容は脂っこいものや刺激のあるものでなければ、だいたいのものは大丈夫ですが、最初のうちは炭水化物を主体としたものが無難ではないかと思います。ただ、様子を見ながら吐かずに無理なく食べられるのであれば下痢が続くからと言う理由で食べ控えたり、内容の制限をする必要はありません。

また、水分補給の目的でイオン飲料を利用するのは構いませんが、病気が改善してからも日常的に水分補給のために使用し続けるのは止めてください。過激な運動や極端に汗をかいた時以外の日常的な水分補給には水が一番です。