goo blog サービス終了のお知らせ 

子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

日本脳炎予防接種:「積極的勧奨の差し控え」で接種を完了していない場合

2011-06-12 17:55:02 | 雑記
旧日本脳炎ワクチンによる重篤な副反応(急性散在性脳脊髄炎)の事例の発生をきっかけに、平成7年5月30日に厚生労働省から「日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨の差し控え」の通知がだされ、それ以降日本脳炎ワクチン接種行われてはいましたが、多くの接種対象となるお子さんは接種をしていないか、規定回数の接種を完了しないまま現在に至っていると思います。

平成21年6月以後は、新しい日本脳炎ワクチン接種が可能となっていましたが、色々な事情(主にはワクチンの供給体制)で「接種の積極的勧奨の差し控え」が続いていました。

今回、平成23年5月20日に厚生労働省より、「接種の積極的勧奨の差し控え」の影響で接種が完了していないお子さんへのへの接種に関する通知が発表されました。

平成7年6月1日~平成19年4月1日生まれの方は、20歳になるまでの期間いつでも日本脳炎ワクチン接種ができるようになりました。

今までの接種状況や各自治体(市町村)の対応状況で、接種の仕方が異なりますので、実際の接種については自治体担当部署にお問い合わせ下さい。

当クリニックで接種希望の方は、予約時に確認しますので母子手帳をみて今までの接種状況が分かるようにしておいて下さい。

厚生労働省通知内容:「日本脳炎の予防接種についてのご案内」

ポリオワクチン

2011-05-29 17:12:48 | 雑記
先日、ポリオ不活化ワクチンの承認が早くても(早ければ?)来年度(平成24年度)になる見通しとの厚生労働省の見解が報道されました。

昨今のポリオ不活化ワクチン早期導入への強い要望に対する対応かと思われます。

報道の対象となっているワクチンは、国産の4種混合(DPTとポリオの混合)ワクチンで、承認されてもいつから実際にいつから接種可能になるか、接種対象者がどのようになるのか(今接種を見合わせて待っていても承認後接種開始されても接種対象者にならない可能性もある)など詳細は不明です。

DPT接種済の子どもたちのために、ポリオ単独の不活化ワクチンの必要性も議論されているようですが、導入については不透明なままです。

個人個人の判断で国内未承認の外国製不活化ワクチンを接種する方も増えてきており、国民の健康を守る責任のある国は、新型インフルエンザワクチンの時のように、速やかに外国製品を承認することを考える必要もあると思います。

今回の報道を見て、当然ながら、不活化ワクチンが開始されるまで生ワクチン接種を控える方がでてきてもおかしくないと思います。
1~2年の事であるのなら、自然感染のリスクの高い場合を除いて、いっそのこと生ワクチン接種を中止してもよいのではないかと言う考え方も出来るかもしれません。

不活化ワクチンの承認の見通しだけ発表されても、子どもの親や接種をしている現場では色々な思惑が交錯し混乱するだけなので、国は同時に今後のポリオ不活化ワクチンへ移行への具体的なスケジュールを示さなければならないのではないでしょうか?

以前に、当クリニックでは国内未承認のポリオ不活化ワクチン接種は行う予定はなく、生ワクチン接種を推奨する投稿をしていますが、未承認の不活化ワクチン接種を行う予定がないことには変わりありませんが、比較的早い時期に不活化ワクチンが導入されるのであれば、生ワクチン接種を積極的に推奨することには疑問を感じます。

ただ、あまりにも今後の見通しについての情報が少なく、不確定な部分が多いので、責任をもって皆さんにどうしたらよいか提言できないのが正直なところです。

とにかく、ポリオ接種について今どうするべきかという見解を国がはっきりと提示してほしいものです。



麻しん(はしか)

2011-05-11 08:53:35 | 雑記
GW前まで、インフルエンザB型の発生がいくつかの施設で見受けられましたが、GWが明けてからは落ち着いた印象です。

4月に東京都区西南部を中心に麻しんの発生報告が増えています。
現在ヨーロッパで麻しんが流行しており、海外渡航者から国内に持ち込まれたと思われます。

今後の麻しん発生状況には注意が必要です。
MR(麻しん風しん)予防接種の対象年齢で接種を済ませていない場合は、出来るだけ速やかに接種をすませるようにして下さい。

また、WHOなどでは、海外渡航予定のある10代~成人の方で、麻しんの免疫状態がはっきりしない方は、渡航前に麻しんの予防接種を1回済ませるよう推奨しています。

ゴールデンウィークの診療

2011-04-20 14:29:28 | 雑記
GWは、暦通り(日曜・祝日)休診となります。

クリニックの診療圏内で小規模なインフルエンザB型の流行がみられますが、
最近の外来は比較的落ち着いています。

花粉症は、スギ花粉は収束し、今はヒノキ花粉がピークで、収束の目処はGW明け頃ではないかと思います。

ポリオワクチン

2011-04-17 16:57:40 | 雑記
ポリオ生ワクチン接種後副反応としてのワクチンウイルスによる麻痺の発生などから、生ワクチンと不活化ワクチンについての質問をされる方が増えてきました。

結論からいえば、現状では生ワクチンの接種をしっかり受ける事をお勧めします。

ポリオ生ワクチンによる麻痺の発生は、最近になり新たに発生したものではなく、以前より「ワクチン関連麻痺 (vaccine-associated paralytic poliomyelitis;VAPP)」として一定の頻度で発生していたものです。

「ワクチン関連麻痺」は、ワクチン接種後に発生する場合と免疫を持たない方がワクチン接種した方から排泄されたワクチンウイルスに感染して発生する場合があり、発生頻度の報告に幅がありますが、200-300万回の接種で1例程度の発生と考えられています。

最近の日本の出生数が100万人強ですので、2回接種するので、1年間に1例程度の発生と推測されます。

この発生数をどうとらえるかは別として、原因が分かっているものをそのまましておくのは問題があり、日本では既に野生ウイルスによるポリオの発生もなくなっており、他の先進国と同様に生ワクチンから「ワクチン関連麻痺」がない不活化ワクチンに可能な限り速やかに移行する必要性に誰も異論はないところです。
それと同時に、ポリオワクチンの接種は、世界的ポリオウイルスの撲滅に向けて計画的に行われており、世界的にポリオウイルスが撲滅されるまでは、確実にワクチンによる免疫をつけておくことも重要となります。

現在日本でも、国産の不活化ワクチンによる治験が行われており、ここ数年以内には導入されると思われますが、今日本で承認された不活化ワクチンはありません。一部医療機関で行われている不活化ワクチンは、民間のワクチン輸入業社が輸入したもので行われています。
現状での不活化ワクチンの接種の問題点は、ワクチン自体の問題ではなく、「計4回の接種で必要で費用がかかる」「ポリオワクチン接種自体重篤な副反応はほとんどないとされていますが、万が一重篤な副反応が発生した場合に保証が受けられない」といったことがあげられます。
今回ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチン接種でも問題になりましたが、ワクチンと関係ない健康被害(有害事象)が接種後に発生した時に、その因果関係の調査など接種医療機関だけで責任をもって対処することはまず出来ないと思われ、副反応かどうかは別として接種後の有害事象(副反応と有害事象についてはクリニックホームページ参照)が発生しても、全て接種する保護者の責任で対処することとなってしまいます。

全ての子どもたちがワクチンで免疫を保ちつつ不活化ワクチン接種へ移行するまで、現状でより安心してワクチンを受けるには、国が責任をもって行う接種計画に沿って生ワクチン接種を受けることをお勧めします。

このような状況で、当クリニックでは当面、不活化ワクチン接種を行う予定はありません。

ワクチンの同時接種について

2011-04-03 23:16:44 | 雑記
ワクチン接種後の死亡事例の報告が重なり、ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチン接種の一時見合わせとなりましたが、ワクチン接種(同時接種)との因果関係はないとの判断から4月より接種が再開となりました。

このことで、ワクチン自体に対する不安と共にワクチン同時接種に対する不安が広がってしまったのではないかと危惧しています。

ヒブワクチンや肺炎球菌ワクチンは、リスクの高い乳児期早期(生後2ヶ月)からの接種開始が強く推奨され、多くの子どもたちが適切な時期の接種機会を逃してしまわないように、ワクチンの同時接種は欠かせません。接種時期が遅くなるだけ、子どもたちは感染のリスクにさらされることとなります。

その他ワクチンにつても、重要度には差があるかもしれませんが同様のことがいえると思います。

同時接種することで乳児期に何回も医療機関に出向く負担も軽減できます。
医療機関の立場からも、多くの子どもたちのワクチン接種を適切な時期に行うため(接種対応できる数にも限界があるため)同時接種は欠かせません。

今回、厚生労働省の専門家による検討会で、ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチン・ワクチン同時接種の安全性に問題はないとの結果に多くの小児科医は当然の結果と考えています。

日本のワクチン行政には、まだまだ改善しなければならない問題が多くありますが、多くの子どもたちをワクチンで予防できる病気から守るために小児科医としてワクチン接種を積極的に行っていくつもりです。

麻しん風しん(MR)第2・3・4期接種

2011-04-03 23:06:42 | 雑記
4月1日より年度が変わり、新たにMRの第2・3・4期の対象者の接種が始まりました。

第2期は、来年小学校就学年齢の年長学年のお子さん。
第3期は、新中学1年生。
第4期は、高校3年生相当の年齢の方。

以上が対象者となります。

当クリニックでは、第3期、第4期対象者の方のワクチン接種は随時接種対応していますのでお問い合わせ下さい(当日の接種も可能です)。

第2期接種対象のお子さんは、通常どおり予約対応としていますので、事前に予約をお願いいたします。

ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンの接種再開

2011-03-30 18:37:59 | 雑記
厚生労働省より、ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンの接種を4月1日より再開する旨の通知がでました。

松戸市では、各医療機関に通知を徹底するため4月5日よりの再開となりました。

厚生労働省の専門家会議での、「今回報告された接種後の死亡事例とワクチン接種(同時接種を含め)との直接的な因果関係は認められず、安全性の懸念はない」との結果を受けての再開です。

早い時期の再開となり、よかったと思っています。

同時接種についても安全性に問題はありませんので、出来るだけ早い時期の免疫をつけ、接種するための受診回数を減らす意味でも当クリニックはでは同時接種を推奨していますが、ひとつひとつ個別に接種することも可能ですのでご希望の方はご相談下さい。

3月4日からの接種見合わせ中に当院で予約をいれていて接種が出来なかった方は、電話などでお問い合わせ下さい。


水道水

2011-03-27 21:31:42 | 雑記
松戸市内に水道水を供給する浄水場での放射性物質(放射性ヨウ素)の濃度は、基準値以下に落ち着いたようです。大気中の放射線量も平常時よりは高いものの、ここ数日は減少しています。

今回の水道水の件でいまさらながらですが、
松戸市の給水が、「松戸市水道部の給水区域」と「千葉県水道局の給水区域」に分かれていることを知りました。

配給地域は松戸市のホームページなどで確認できますが、「松戸市水道部の給水区域」は一部の地域で、半分以上は「千葉県水道局の給水区域」です。

松戸市水道部の水道水は、「北千葉広域水道企業団の浄水(江戸川)」と「深井戸水」を混合して給水しているそうです。
今回松戸市が乳児用に配給している水は深井戸水のようで、深井戸においては浄水時にほとんど大気に暴露されることが無いため安全と考えての対策と思われます。

今のところ心配な状況ではありませんが、今後の推移にはしばらく注意が必要だと思います。

3月28日(月)も通常通り診療を行います。
当面のところ、クリニック所在地の松戸市グループ1Dでの停電予定はないようですので、診療は通常通り変更はありません。