角田氏が13日夕刻から18日早朝に東京を出発し現場へ向かうまでに感じた主な疑問:
1)なぜ現場確定までに10時間もかかるのか?(墜落12日18時56分、現場確定は13日5時10分、生存者発見は10時54分)レーダーで追い続けているはずで、自衛隊は優秀な機器を備えているはずだ。
2)同じ事故翌日13日の朝刊でありながら、なぜ航跡図が新聞によって異なるのか?レーダーで追跡しているはずで、ソースは1つのはず。
3)日航発表(13日朝刊)によれば事故機は18時41分にR5ドアの異常(「R5のドアがブロークン」)を自社(日本航空社用無線:COM)だけに通報している。なぜ事故の状態や操縦不能の具体的報告が自社だけなのか?(また、後に明らかになることではあるが「油圧オールロス」に関しても交信記録が無い。)
4)スコーク77(緊急信号)を発して民間航路を外れ32分も迷走しているのに、米軍も自衛隊も捕捉・誘導しないのか?
5)R5ドアの異常は前記の日航発表では41分だが、後の運輸省発表では18:35となっている。なぜ6分もズレが?
6)大月上空で一回転し高度を大幅に下げているのに、なぜ高度の報告も着陸に関する交信も一切ないのか?
7)18時56分に墜落後、長野県側から具体的な現場の目撃報告があり、長野県は「現場は群馬側」と公式発表(12日23時30分)までしているのに、なぜ自衛隊や日航は翌朝3時、4時になっても長野県側の御座山や北相木村に人員を送り込み一晩中現場を捜すのか?
上記3)の異常の報告に関し、事故調の最終報告書(1987年6月19日。なお、同日に「別冊」も同時公開。青山透子氏や森永卓郎氏は別冊が2013年にネット上にアップロードされるまで隠されていたと主張しているが、事実と異なる)のCVR(コックピットボイスレコーダー)の筆記録によれば、事故機は「アンコントローラブル」は複数回言っている(28:35("But now uncontrol")、 45:46("Japan Air 123 uncontrollable")、47:19(「アンコントローラブル」)。
しかし、油圧ロスに関しては異常発生から墜落まで、報告書のCVRの書き起こしとネット上の流出CVR音声の両方において、まったく機外に報告していない。ドアの異常は(自社COMにだけ)伝えているのに、機体の操作性を左右する最重要問題である「油圧オールロス」、すなわち"nature of emergency"(異常事態の内容、本質)を管制にも自社にも誰にも伝えないとは信じがたい。
伝えたに違いない。
コックピット内では油圧ロスを認識しているのは明らか(25:19「プレッシャおっこった」、26:00「ハイドロプレッシャがおっこちてます」、26.27「(ハイドロ全部だめ?)はい」、27:47「ハイドロプレッシャオールロス」、47:16「ハイドロクオンティがオールロスしてきちゃったですからなあ」、すべて(FE))。
コックピットは異常事態発生から数分後には、操縦不能の原因に気付いていた。
報告書のCVR記録が正しいならば。
特にこの「オールロスしてきちゃったですからなあ」という、間の抜けたとも取れる言い方が気になる。47分と言えばもう最終局面近くで、27分に「オールロス」と分かっているなら「してきちゃった」などと悠長なことは言わないと思う(緊張を和らげるためか?)。この発言はこれまでの記事に貼った動画では聞き難いが、以下の動画ではっきり聞こえる(動画時間の6:30あたり)。
Japan Airlines Flight 123 Accident (12 Aug 1985) - Cockpit Voice Recorder [English Subbed]
(上の動画内7:35(実時間49:45)は報告書では「はい高度落ちた」だが、「ハイドロが落ちた」に聞こえる)
乗員はオールロスと言ったが、それはイコール油が油圧配管および油圧装置内にまったく無い状態だったのか?エルロンやエレベータ等の舵面は少しも動かなかったのか?
異常発生から数分後の「オールロス」に関する会話は本当にそこにあったのか?
車の運転中、燃料計がゼロを指して「ガス欠!」と言っても車がすぐ止まるわけではない。「お金が無くなってきちゃった」、「時間が無くなってきちゃった」等、いずれも「少しは残っている」意味合いで、「無くなっちゃった」や「オールロスしちゃった」とは異なる。ボーイング747の操舵系は「フライバイワイヤ(ワイヤ=電線、すなわち電気信号による油圧の制御)」だそうで、機械的に操縦稈の動きが直接舵面に伝わる訳ではないらしく、油圧は必須らしい。また、配管がどこかで切断されれば油が多少残っていようとも「正常な動作に必要な」圧がかからなくなるだろうとは想像できるが、実際の挙動がどうなるかは実験しないと分からないのではないか?
Chat爺に聞いてみた(太字強調はChat爺による):
ラジオライフ
18:26 管制官がスコーク77受信に気が付く
18:27 トラブル発生連絡
18:33 R-5ドアブロークン
但し、R-5ドアでは無く、アッパーフロアドア
フルオープンです。 減圧でシーアピンが外れ
客室と操縦室の境のドアが、開く仕掛けになって
いました。
ヒューズが取り付けられており、オールロスは
無いです。 当時の機体は操縦輪を油圧無し
で、人力、怪力でも動かせません。
何の為にヒューズが取り付けられたかと言い
ますと、NASAの試験も兼ねてました。
ハイジャック防止技術の、リモートコントロール
です。 18:28 エマージェンシーディセントを
開始してます。