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竜巻

2013-09-21 08:13:38 | Weblog
その紙くずがなかったら、竜巻の強さを示す単位は、「F」ではなかったかもしれない。Fは故藤田哲也博士の頭文字。大正生まれの九州男児が、米国で「ミスター・トルネード」と呼ばれるまでになった転機は、吹けば飛びそうな紙くずだった。

1947年の夏、26歳の藤田さんは雷雲の下に下降気流があることを発見して論文にまとめた。だが、国内ではまったく反響なし。ところが、弟子の一人がたまたま、九州北部にあった米軍のレーダ基地のゴミ箱から、米国の学者が書いた論文を拾い上げる。

「藤田先生の研究テーマと、関連がありそうだ」。藤田さんが自分の論文をその研究者に送ると、すぐ返事が来た。「ぜひ渡米してほしい」そんな幸運をしっかりとつかみ、藤田さんは竜巻など突風の研究で、学会を驚かす成果を上げていく。

「常識的に起こりえない」と、他の研究者が目を背けた現象を、虚心に見つめ続けたからこそ、世界的な業績を残したという。埼玉県や千葉県で竜巻きとみられる突風が起き、大きな被害が出た。 

藤田さんが作った6段階の尺度で言えば、F2か3の強さのようだ。大気が不安定で竜巻などが起きやすい天気が、各地で続く、「この辺じゃ竜巻なんて起きないだろう」と思い込みは、ごみ箱に捨てた方がよさそうだ。