デジカメぶらりぶらり

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神社

2013-09-17 06:54:17 | Weblog
ここに故郷あり、と書いたのぼりが強風にはためいている。津波と火災で750世帯以上が壊滅的な被害を受けた福島県いわき市久之浜・大久地区。奇跡的に被害を免れた小さな神社である。

江戸時代から信仰を集め、明治の大火にも焼け残った「魚の町」の鎮守だ。浜辺近くは数メートル盛り土して緑地にする計画があり、神社は移転対象になったが、住民の強い希望でその場に残されることになった。

この浜にあった商店が小学校の敷地を借りてプレハブの商店街をオープンしたのは震災の半年後。被災地の仮設商店街第1号の「浜風商店街」である。おばちゃんたちがにぎやかに迎えてくれる商店街は、原発事故で避難も経験した住民にとって希望の光になった。

自然災害や戦争に打ちのめされた名もなき人々が、折れかけた心を奮い立たせて、襲いかかる苦難を乗り越えてゆく。時代を超えて共通する庶民の歴史だろう。

実業家でもあった水上滝太郎は、関東大震災で焼け野原になった東京・銀座にいち早くトタン板で店を構え、酒をふるまう料理店を都新聞の連載小説「銀座復興」で描いた。

店主は客に言った。「復興しないったってさせてみせらあ。日本人じゃあねえか」十万人以上の犠牲者を出した関東大震災から90年になる。地震から決して逃げられない国民の宿命とそれを克服する使命をあらためて考える。