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提訴

2013-03-25 08:03:27 | Weblog
土を耕したことがある人なら、分かるだろう。本当に豊な土をつくるのが、いかに大変か。鍬を入れ続け、際限なく石を拾う。ほかほかした畑は、何世代もの人が慈しむように土とつきあって初めて、できる。

美しい田園風景とは、人間がさまざまな絆でつながりつつ、大地に愛情を注ぎ続けたことで、出来上がった情景だ。そんな大地が2年前、原発事故で汚され、なお15万人が避難を強いられる。

先日、住民ら1650人が国や東電を相手取って、一斉に提訴した。福島地裁に出された訴状に、こうある。<一人で生きてきたものは一人としていない。その結びつきの場が、美しい福島であった><原告らが求めるものは、第一に、もとの美しい福島、ふるさとを返せ、という住民のさけびそのものである>。

農地だけではない。豊な海も汚された。訴状は老いた漁師の嘆きも伝える。「仕事をしていないから、手の皮がこんなに柔らかくなってしまった」。国と東電は、かけがえのないものを奪われた人々の訴えに、どう応えるのか。