一風堂=土屋昌巳の出ている映画「沙耶のいる透視図」を素浪人の頃見た事を思い出していた。
高樹沙耶のデビュー作品だったが、一言で言えば「訳が解からず、とにかく暗い」映画だった。
僕の印象に残っているシーンは、どしゃぶりの雨の中、土屋昌巳が鋭い目で病的な自分の成り立ちの長い独白を、刃物を手にしながら、おびえ震えながら、話すシーンだった。
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ある解説には「ビニ本の世界を舞台に三人の男女の愛と性を描く。」とあるが、とてつもなく絶望的な映画で、ただですらノイローゼであった素浪人の僕の精神にもダメージを与えられた、とにかく暗い映画だった。
僕は昔、三宅島に旅をしたとき、高樹沙耶さんがダイビングの練習に来るときに必ず使う民宿に泊まったことがあります。そのとき、僕はこの映画のことしか知らなかったのですが、そのすぐあとに、ハワイかどこかで彼女はダイビングで活躍していると聞きました。最近ではテレビにまたよく出るようになったようですが。映像は美しいですね。昔の映画はみな映像がきれいです。
この動画をひとしきり見たら、下に小さく紹介されている動画たちのなかに、裸の少女が海岸で体を座屈しているのがあったのですが、観ると、「旅の重さ」という映画の宣伝でした。思わずアマゾンに注文してしまいました。
沙耶の・・・はアマゾンでも、評価が「暗い・・・」ですね。
しかし、この映画は暗い!
その幾分かはマーボー(土屋昌巳)の引力だと思っています。
80年代の不思議の一断面を見るようで、これは記録として大事な映画だと今は思っています。