手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

ひとりでできる!!ステップ式筋膜リリース練習法 その8

2013-05-18 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
今回は筋膜がリリースしていっているという感覚を、どのようにして磨いて行くのか、その練習法のお話です。

部位は前回と同じ、前腕の屈筋側を用いるのが練習しましょう。


もちろんこの部位以外のどこで練習しても構いません。



ステップ3(1)刺激する時間を決めて、前後の状態を比較する
手技療法のテクニックを用いるとき大切になるのは、加えた刺激に対して組織がどのように反応しているかということを、リアルタイムで感じ取っておくということです。

ですから筋膜リリースをしているときも、筋膜がリリースして伸びていっているという感覚を感じておく必要があります。

けれども筋膜のリリースは少しずつおこるので、慣れないうちはその変化をリアルタイムで感じるのは難しいかもしれません。

そこで最初は、あらかじめ伸張刺激を加える時間を決め、その前後を比較することで、はっきりと変化を実感するところからはじめるとよいでしょう。



まず手掌で前腕を押さえ、伸ばしていったときの伸びる範囲や動きの滑らかさ、エンドフィールを評価し記憶しておきます。

続いて、例えば1分間という決められた時間の間、筋膜リリースを加えます。

ステップ2で学んだように力任せで行わないように注意しましょう。

時間になればいちど手を緩め、再評価します。

はじめと比べて、伸びる範囲が広がった、伸びる動きが滑らかになった、エンドフィールがよりソフトになったという変化を認めることができれば、上手く軟部組織をリリースできたということになります。

この練習を繰り返すことによって、アプローチの前後ではっきりした差を感じ取れる経験を積めば、今度は微妙な差を感じ取れるように練習していきましょう。



ステップ3(2)リリースしている変化を感じとる
ステップ3(1)で、テクニックを行うことによって軟部組織の伸張性が変化し、改善したということを実感できれば、伸張刺激を加えている間に、組織がリアルタイムに少しずつ伸びていく感覚を感じとるように練習しましょう。

手順はステップ3(1)と同じですが、刺激を加えている間、手に伝わってくる感覚に集中します。目を閉じるのも感覚に集中するためによいでしょう。

これは微妙な感覚ですから、根気よく練習する必要があるかもしれません。



ここでも繰り返し確認しておきたいのは、ステップ2で練習した体の力を使って刺激を加えるということです。

手先に力が入ると、組織の変化を感じ取ることが難しくなります。

わからないとついつい手先に力を入れてしまいがちですが、それには十分注意して気長に待っているようにしましょう。

根気よく待つことができる、これも臨床で求められる力のひとつです。



もう一点気をつけていただきたいのが、息を止めないということです。

細かい操作や微妙な感覚を感じ取ろうとする時、無意識に息を止めてしまうことがあり、これが続くとセラピストの疲労を速めてしまいます。

シャボン玉をゆっくりとふくらますつもりで吐くなど、細く長い呼吸を練習するとよいでしょう。



感覚が身についてくると、水あめが伸びるように、手の下でゆっくりと組織が伸張していく様子が感じ取られるようになります。

さらに感覚が磨かれれば、ただ組織が伸びていくというだけではなく、いったん停止したり反対に収縮しようとしたした後、再びゆっくりと伸びていくというように、組織の自律的な動きも観察されるようになります。

このような動きがなぜ起こるのか?筋膜のなかに筋細胞が存在するという説もあるそうですが、本当のところは何なのか私にはわかりません。

最近の研究結果など、ご存知の方がいらっしゃったらぜひ教えてくださいね。


≪次回につづく≫