手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

操作は身体のそばで ≪セミナーのご案内≫

2010-04-17 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
手技療法では患者さんの身体を、さまざまなかたちで操作します。


たとえば可動性検査や、その延長上にある関節モビライゼーションなどなど。


そのとき注意しなければならないのは、上肢や下肢や頭部など患者さんの身体を操作する時は、セラピストの身体のそばで行うということです


これは「鉄則」といってもよいくらいです







その理由は、本当はみんなわかっています。


荷物を持つときに、身体から離していれば重くなり、そばなら楽に持てるということを生活の中で経験しているからです。


ところが、いざ触診やテクニックの練習をするとなると、とんでもなく離れたポジションで操作している方もいらっしゃいます


私も、自分がそうだった記憶があるので分かるのですが、かたちをつくるのに夢中になるため、自分の身体のポジションまで気が回らないのです







しかし、離れたポジションで練習しても、なかなか上手くなりません







たとえば、仰臥位で頭部を保持して頸椎の可動検査をするとき、脇が開いて両肘も離れているくらい遠くで支えているとします

≪悪い例1≫


まだ頸椎の触診に慣れておらず、とにかく夢中で調べようとしている方に時々みられます。







なかには手の感覚に集中しようとするあまり、このように頭まで下げている方も、まれにですがいらっしゃいます

≪悪い例2≫







その真剣さはとても大切だと思います







しかし、このように身体から離して操作すると、重い頭部を支えるうえで必要な力を、手先の筋力に頼るために、


① 細かい動きを感じ取ることができず、正確なパルペーションやモニターが行えない。


② 細かい動きをコントロールすることができず、テクニックを用いる上で、適切な刺激を与えることができない。


③ セラピストの腕が早く疲労し、支え続けることができない。


④ 患者は不安定な感覚を覚え、緊張して力が抜けない。


せっかく頑張っているのに、以上のようなマイナスのことが起こります


特に④は、正確な評価や治療にも妨げとなり、場合によっては治療によってかえってダメージを与えてしまいます







できるだけセラピストの身体の近くで保持し、操作するようにしましょう。


この場合なら、肘が身体の横側に来るまで引いて保持します。

≪良い例≫


高さとしては、みぞおちから下腹部の間くらいです



こうすることで、体幹側にある筋を働かせやすくなり、手先の筋にかかる負担が少なくなるので、①~④のような問題も起こさなくなります。


他の部位でも基本的には同じです。







はじめてのうちは、自分の前腕や手を腹部につけて操作するくらいの気持ちでもよいかもしれません。


とても大切なことなので、ぜひ習慣づけるようになさって下さい







≪おまけの話≫
自宅から、10分ほど車を走らせたところにある西岡水源地は、私が自分の庭にしている公園です

北海道に来て以来、この公園の木々や草花にはずいぶん慰められ、励まされてきました。

予定のない休みの日には、ブラブラと散歩をするのが私の楽しみです。

この日(14日)は、4月半ばだというのに雪でした

今年は春が遠いですね。

今は閑散としていますが、あっというまに草花が育ちだし、生命力の強さを感じさせてくれます。



木道の下は湿原になっていて、雪解け水が流れています。
冬の間、雪に押されていたススキが横倒しになっています。


貯水池の氷もようやく溶けてきました。
冬の間は、動物たちが歩いて渡っています
手前にみえるのは、明治時代に建てられた貯水塔です。





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