東アジア歴史文化研究会

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう
歴史の書き換えはすでに始まっている

「森友文書だけが日本の問題ではない 国の安全への責務を政治家は自覚すべきだ」(『週刊ダイヤモンド』2018年3月31日号 櫻井よしこ)

2018-04-02 | 日本の安全保障
2018.03.31 (土)

3月19日の参議院予算委員会で安倍晋三首相は、森友文書書き換え問題で「行政全体に対する最終的な責任は首相である私にある」と陳謝した。

その上で、「私や妻が国有地払い下げや学校の認可に関与した事実はないことは明らかだ。書き換えを指示していないし、そもそも財務省理財局や近畿財務局の決裁文書などの存在も知らない。指示のしようがない」と語った。

財務省が発表した76ページの文書には首相夫妻関与の痕跡は全くない。

省の中の省と言われる財務省が決裁文書を書き換えていたことは重大問題であり、首相をはじめ政治による不当な真実隠しがあれば糾すべきなのは当然だ。この二つの問題には粛々と取り組めばよい。だが、急展開する国際情勢を見れば、国会が同問題だけにかまけていてよいはずはない。国会は日本の命運を左右する大きな国際情勢問題に急ぎ取り組むべきだ。

ドナルド・トランプ米大統領は国務長官のレックス・ティラーソン氏を更迭し、マイク・ポンペオ氏という元米中央情報局(CIA)長官で対北朝鮮強硬派を後任に指名した。トランプ氏は国家安全保障問題担当補佐官、ハーバート・マクマスター氏も解任する方針だと報じられている。後任として取り沙汰されるのがジョン・ボルトン元国連大使ら、対北朝鮮強硬派である。

北朝鮮を巡っては、4月末に南北朝鮮首脳会談、5月には米朝首脳会談が予定される。南北首脳会談の韓国側準備委員長は、北朝鮮の故金日成氏の主体思想の信奉者で、朝鮮民族として正統性を有する国家は韓国ではなく北朝鮮だとの考えを隠さない任鍾晳(イム・ジョンソク)氏だ。

同氏の下で首脳会談を調整するのは2000年の金大中・金正日首脳会談を設定した責任者、林東源元統一相だ。大中氏は秘密資金4億5000万ドルを正日氏に貢いでようやく会談してもらったのだが、そのお膳立てをしたのが林氏だったとみてよいだろう。韓国が北朝鮮にのめり込むのが4月の南北首脳会談だ。その後に誕生する韓国は今よりずっと親北だろう。

米国は5月の米朝首脳会談を目指して準備中だ。日本は4月中に日米首脳会談を開く。米朝首脳会談が本当に実現するのか、実はまだわからないが、実現すれば日本に重大な影響を及ぼすのは確かだ。わが国の準備は進んでいるのか。

日本にとって最悪なのは、北朝鮮が米本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)を放棄するだけで米国が納得することだ。北朝鮮は日本を十分狙える核とミサイルを手にすることになり、到底日本は受け入れられない。日米の絆である日米安全保障条約の基盤は大きく揺らぎ、それは日本の国益にも米国の国益にもならない。

安倍首相は4月の首脳会談でトランプ大統領にそのことをよく理解させなければならない。だが、強固な日米同盟が大事だとトランプ氏に納得させるには、同盟が米国にとっても代替不可能な必須の戦略基盤であることを示さなければならない。そのために日本のなすべきことを国家戦略として決めておくことが欠かせない。

折しもユーラシア大陸には中国の習近平政権とロシアのプーチン政権という、事実上の終身皇帝を戴く専制独裁政権が誕生した。政権地盤を固めた二人の専制者は、国内基盤強化のために厳しい対外戦略を打ちだすだろう。

かつてない厳しい国際情勢の中で日本が依って立つ基盤は日米同盟しかない。同盟を日本の国益を守る方向へと導くためになすべきことを決め、具体的政策に移す局面だ。その作業を日米首脳会談前までに全力で行わなければ日本は深刻な危機に直面する。森友文書だけが問題ではないのだ。日米同盟に生じ得る根本的揺らぎを読み取り日本国の安全を確固たるものにする責務を政治家は自覚すべきだろう。

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